阪神・ドラ2伊藤将 躍進支えるボールのキレ 恩師・岩井監督明かす活躍の裏側

 阪神ドラフト2位・伊藤将司投手(25)=JR東日本=は、新人ながら開幕ローテ入りし、左の柱としてチームを支えている。球団新人37年ぶりの開幕から無傷3連勝を達成するなど、ここまで6試合で3勝2敗、防御率2・43。勝利後に2人だけの“反省会”を行っている恩師、国際武道大・岩井美樹監督(66)が活躍の裏側を明かした。

 伊藤将が白星を挙げた日には必ず「おめでとう」とメールを送る岩井監督。その後、取材対応などを終えた伊藤将から電話がかかってくるという。

 岩井監督「ばかやろう、バッティングがなってない」

 伊藤将「監督さん、僕ピッチャーですから(笑)」

 打撃センスを認める教え子との冗談交じりのやりとりから、2人の“反省会”はスタートする。

 伊藤将はここまで6試合に先発して3勝2敗、防御率2・43。先発ローテ唯一の左腕として、首位を走る阪神に欠かせない存在だ。

 岩井監督は大学入学当初、横浜高時代に肩肘を使いすぎていたと判断。1年間はイニング限定で中継ぎ起用。2年から先発を任せ、春は3完封を含む負けなしの6勝へ導いた。

 さらに投球時のテークバックが大きすぎると感じ、「後ろを小さく、前を大きく」と矯正。出どころが見にくいフォームへ改良させると、伊藤将は3年春の千葉県大学リーグでMVP、最多勝など4冠に輝いた。

 飛躍する過程を見てきた岩井監督でも「思ったよりコントロールが良くなってるからびっくりしました」と教え子の成長に驚く。

 特に評価しているのは「ストレートとツーシームの差があまりない」ことだ。「もうちょっと速い球を求めると差ができちゃう」。球速140キロ中盤の直球ながら、打者のバットは空を斬り、打ち損じた打球が転がる。その技術は大学時代も際立っていた。

 大学2、3年時に日本代表に選出された伊藤将。当時の代表合宿で、150キロ台の球を投げる投手が芯で捉えられていた中、「伊藤将司は141キロでも結構空振り取ってたんですよ」と振り返る。「みんながストレートの質が良いって。派手さはないけど思ったよりボールがキレる」。持ち前の武器が、プロでの躍進も支えている。

 もう1点、ある部分に成長を感じている。「すごいなって思ったのは、その時の軸に使うボールを変えてるんですよね。同じパターンで投げてない。引き出しがだいぶ多くなりましたよ」。現代野球はデータ技術が日々進歩しており、「そこを分かってるんじゃないですかね。頭良いですよね」と分析力に太鼓判を押す。

 岩井監督は日頃から選手に伝えていたことがある。「人間、調子の良い時は誰でも頑張れるんです。調子が悪くなった時にいかに頑張れるかが勝負どころ」。前回29日・西武戦は自己ワーストの5四球を与えるなど苦しみ、2敗目を喫した伊藤将。それでも5回2/3を5安打1失点の粘りは、まさにこの教えを体現した投球だった。

 “反省会”では求められれば指摘はするものの「分かってますよね。だから確認でしょうね」と岩井監督。自分で考え、取り組める伊藤将の素質を分かっているからこそ、エールを送る。「できれば2桁勝ってもらいたい」。これからも重ねる“反省会”は、勝利の証だ。

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