阪神・熊谷「常に腹をくくってる」 中日戦で神走塁“代走の切り札”急成長の裏側

 最近の試合で活躍した選手を深掘りする新企画(不定期掲載)。第3回は、首位を独走する阪神にあって、走塁で抜群の存在感を放つ熊谷敬宥内野手(25)が登場する。緊迫した場面で代走として起用される背番号4。塁上での心構え、覚悟を語った。

  ◇  ◇

 阪神でいま「代走の切り札」といえば熊谷といっても過言ではない。今季、盗塁成功率は5企図で100%。まだ一度も失敗がない。さらに盗塁を決めた5度とも全て本塁に生還。「ただ、目の前のことを必死でやっているだけです」と謙遜するが、間違いなく、チームの快進撃を支える1つのピースとなっている。

 序章は11日の中日戦(甲子園)。1点を追う七回2死から代打・原口が内野安打で出塁した。ここで矢野監督は代走・熊谷を送り出す。中日側も祖父江から左腕・福に代えた。

 一度もけん制を挟まずに投じられた初球で、迷わずスタートを切って二盗に成功。その後、糸原の右前打で二塁から一気に本塁へ。外野陣は前進守備を敷いていたが、華麗なヘッドスライディングで同点の本塁を陥れた。

 13日の同戦でもチームを救った。0-1の七回。2死から代打・原口が四球で出塁すると、代走で出番を迎えた熊谷は近本の打席の初球でスタートし、二盗を成功させた。直後に近本が鋭いライナーで二遊間を破る中前打。一気に三塁を蹴り同点のホームに生還だ。

 「2戦続けて走れなくて。そこでいけなかった悔しさがあった。いけない悔しさよりも、いってアウトの方がチャレンジしている。ただ(塁に)居るだけだと何の価値も生まれないと思う。覚悟というよりは常に腹をくくっています」

 “神走塁”につながる、強い思いが芽生えたきっかけがあった。4月28、29日の中日戦(バンテリン)。2試合続けて代走で起用されたが、一度もスタートを切れず得点にも絡めなかった。求められているのは足で突破口を切り開くこと。1つでも次の塁を攻める覚悟を決めた。

 盗塁の際に心がけることは1つ。「スタートだけを意識して。スタートがよければ、あとはいい勝負ができると思っているので。1、2歩目はすごく意識しています」。多くを考えず、自分の足を信じてスタートだけに重点を置くことが好循環を生んでいる。

 「踏み足がどっちの方が速くベースを回れるのかというのは考えながら、練習していますし。何かつながるんじゃないかと思うので、走塁が上手い選手の動画なども見たりもしています」

 走塁に磨きをかけるため、日々の研究は欠かさない。参考にするのは日本ハム・西川の走塁。大学時代から動画を見ており、今でも三塁打を打ったシーンなどに目をこらす。

 今年でプロ4年目。入団1年目は、矢野監督の2軍監督1年目でもあった。その2018年、阪神2軍はウエスタンの盗塁記録163盗塁をマークし、熊谷は23盗塁で貢献。その時から積極的な走塁の意識を植えつけられた。「積極的にというのは常に持っています」。今でもその姿勢は継続されている。

 今キャンプは2軍スタート。「(2軍で)キャンプをやっていたときは悔しい思いでやっていたので。1軍で試合に出たら悔しさを晴らすというか。ファームのキャンプでやってきたことを出すだけです」と熊谷。探求心に技術が加わり、今なお成長を続けている。

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