【密着25時】阪神・岩崎、磨く魔法のストレート 日本一直球を打たれない男に迫る!

 担当記者が1人の選手の一日を徹底マークする新コーナー「密着25時」。第2回は今季セットアッパーとして期待される岩崎優投手(28)にスポットを当てる。キャンプでは開幕までの調整を任され、自覚十分。昨季12球団トップの低さとなる直球被打率・103を誇る左腕は、“魔法のストレート”に磨きをかけ、被本塁打減少を目指す。

  ◇  ◇

 メイン球場で投内連係を終えた岩崎がブルペンに現れて、ホッとした。前日から「密着25時」の趣旨を伝えていたが、「明日にならないとブルペンに入るか分からないですよ」と、人なつっこい笑みを浮かべた左腕から伝えられていたからだ。

 第4クールを迎え、ブルペンでは実戦モード全開だ。プレートの三塁側を踏み、直球、スライダー、カットボール、カーブなど全球種を確認すると、9球目からは各球種を内外角へ投げ分ける。最後は「外角スライダー→内角直球」を3セット。打席に立つ金村投手コーチが「ヨッシャー!」と声を上げるほどのキレだ。計28球。実戦初登板となる20日・楽天戦(宜野座)へ、準備はバッチリだ。

 コースに投げ分けた意図を聞くと、「変わり目が大事。何球も投げるといい球がいくこともある。1球目から良い球がいくことが大事なので」と言った。セットアッパーは失投が命取りとなる。昨季、岩崎の直球被打率・103は12球団No.1の低さ。守護神・藤川の数値も上回ったが「去年と同じじゃダメ」と首を横に振る。

 「ホームランを確か5本ぐらい打たれたので。バレンティン(前ヤクルト)、堂上さん(中日)。丸さん(巨人)はスライダーでした。石川慎吾(巨人)、磯村(広島)も真っすぐでしたね」

 昨季本塁打を浴びた打者の名前をスラスラ挙げたところに、被本塁打撲滅の強い意識がにじむ。「甘いところにいったら打たれるので。キレも制球力も。変化球も真っすぐが生きるように」と今キャンプは精度向上を目指している。

 帰り際には報道陣に囲まれ、「真っすぐをしっかり投げられるようにしたい」と実戦初登板へ意気込んだ。今キャンプは開幕までの調整を任されている。「探り探りです」と言いつつも、主力として「責任は感じています」と自覚を口にする。

 「ここでも密着ですか?」。球場で顔を合わせるたび、岩崎はニヤリと笑った。何度か姿を見失ったが、企画は無事終了。不動のセットアッパーとして、期待はさらに高まった。

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