【矢野監督・新井氏 対談2】新井氏「今年の大山が楽しみ」

 虎党が喜ぶ新年の誓いだ。阪神・矢野燿大監督(51)を、デイリースポーツ評論家・新井貴浩氏(42)が直撃。矢野監督は就任1年目の2019年に6連勝フィニッシュで3位に浮上し、奇跡の逆転CS進出を果たした。現役時代に優勝を経験している2人は、チーム一丸で戦った昨季終盤の戦いぶりから、今年の飛躍を予感。指揮官からは優勝宣言まで飛び出した。対談その2。

  ◇  ◇

 新井貴浩氏(以下、新井)「監督1年目が終わっていかがでしたか?終盤の負けられない戦いでは、采配ですごく動いていましたよね。勇気のいることだったんじゃないかな、と感じていたんですけど。大変だったんじゃないですか」

 矢野監督(以下、矢野)「そうやね。でも、何がチームにとってプラスなのかというのがいつも基準にあって。俺の中ではやり切ろうと。負けたら終わりの状況で、抑えられる確率が高いピッチャーをベンチに置いたままクライマックスに行けないというのが嫌で。『先に点を取られたら苦しいな』と思ったらいってやろうと思って。あのへんから、俺の中で勝手にクライマックス(シリーズ)が始まっていて。最後、選手がおれへんようになってもええわ!って。それは俺の責任やから。でも、たまに本当にピッチャーがおらんぞ!ってなってた(笑)。『福原(投手コーチ)、ピッチャー大丈夫か?代打いってええか?』って。『いっていいですよ』って言いながら、ほんまはあかんのに。あとで『これはまずいぞ…』って焦りながらやっていた(笑)。選手には嫌な思いもさせたと思うけど、あの時はチームを優先させてもらって思い切ったね」

 新井「失礼な言い方ですけど、腹が据わってるなって思いました。動いて負けた時って、より(周囲から)言われるじゃないですか。あそこまで序盤から激しく動いて、動いての連続はすごいなって思っていました」

 矢野「福原がいいよって言うから」

 (一同、爆笑)

 新井「彼は…?(笑)」

 矢野「彼は俺の中の癒やし系。うちの嫁さんも娘も『ベンチでいつも福原さんと話してない?』って。『いや、相談してんねん!』って(笑)」

 新井「僕の同級生、癒やし系が多いですからね」

 矢野「そうやね。ジェイ(藤井バッテリーコーチ)もね」

 新井「男前のジェームス・ディーン(笑)」

 矢野「なんか恵まれてるね、周りのキャラクターに。ディズニーランドにいるみたい(笑)。癒やし系が多くて。そこに一樹(井上打撃コーチ)も来たんで」

 新井「より楽しくなりそうですね」

 矢野「2020年もそういうムードでやりたいね」

 新井「オフに外国人を補強して、今年の外国人は8人になりました。野手3人、投手5人ですが、何かあった時のためなのか、それとも外国人同士で競争させる意味合いなんですかね」

 矢野「両方あるね。戦力で取ってくれているのと、競争もね。去年は巨人と戦っていたら、やっぱり駒がすごく多いと感じて。野手が3人出ている可能性もあると思うし、争いが激しくなるし」

 新井「競争の中でチーム力が底上げされていく感じですね」

 矢野「マルテのサードも頭の中にはある。外国人枠もあるけど、それで悠輔(大山)の成長もあると思っているし。若手、中堅もまだまだ伸びる選手がいるんで。勝つためと競争を激しくするために取ってもらった」

 新井「ボーア(の打撃)はブラゼルとかぶるとこありますよね。映像を見ていると、ヘッドの使い方とかがブラゼルに似てるな、って感じます。逆方向にも大きいのを打てそうなヘッドの柔らかさがありますよね」

 矢野「似てる、似てる。パワーだけで遠くへ飛ばすだけじゃなくて、柔らかさもあるし。何でもかんでも振りにいくっていう感じでもないから。甲子園は浜風があるけど、ちゃんと打てば右翼席へ入るパワーを持っていると思うし。左中間ぐらいまで(本塁打を)打てると思う」

(続けて)

 矢野「相手にとっては怖い存在になってくれると思う。たぶん、(日本では)落ちる球と、高めの真っすぐ、内角も含めた攻め方をされて、どう対応していけるかということになると思う。それが課題にはなるかなとは思うんだけど、現状で(期待すること)はやっぱりホームラン。昨季は外国人選手と、ホームランで負ける試合がすごく多くて。そういう部分でボーアは中心バッターに一番近い選手かな、と思う」

 新井「楽しみですよね」

 矢野「そうそう。タイガースファンはバースっていう名前をかぶせると思うんで。沖縄キャンプでもバッティング練習から、どでかいホームランを打つと思うんで。バースの再来とか言ってもらえると思うし。すごく面白いと思う」

 新井「個人的には、去年(の春季キャンプ中の対談で)も話をさせていただいたのですが、やっぱり『4番・大山』が気になっています。去年はうまくいった部分、いかなかった部分、両方あると思うんですけど、彼にとってはいい1年になったんじゃないかなと思うんですが」

 矢野「4番を打ったことがない俺が言うのもあれだけど、悠輔には、まず経験してもらうことで、悠輔の成長と、生え抜きの中心選手の安定っていうのがほしいなと思っていて。去年は苦しい部分の方が多かったかもしれないけど、今年は奪い取ってほしいなと思っていて。それが本当の4番だと思うし。『一回経験したからこそ、もう一回戻りたい』っていう気持ちが悠輔のパワーになると思うんで。力で奪い取れば本物だと思うんで、楽しみにしてるよ」

 新井「彼が昨季の終盤、スタメンを外れた時のコメントを見ていると、悔しそうなコメントを出していたじゃないですか。だから、いいなと思っていました」

 矢野「俺もどこで4番を外したらいいのか、このまま使うのがいいのかってずっと迷っていた。だけど、開幕前に『4番としての姿勢は頑張ろうな』と話したことはやり切ってくれた。凡打しても胸張ってベンチに帰ってくるとか、そういうことはやり切ってくれた。だから、任せようと思えた。成長は間違いなくしてくれていると思う」

 新井「彼にとって去年の経験は生きると思います。僕は同じ4番を打ったこともありますし、今年が楽しみです。彼がどういうふうにやるのかって」

 新井「去年、活躍した選手と言えば近本選手ですよね。赤星以来じゃないですか、1番・センターで活躍した選手って」

 矢野「いやあ、助かったね。本当は俺の中では2番にしたいけど…。でも、まだ2番の力はないと思っていて」

 新井「それは状況によって待ったりするということですか」

 矢野「待つのも打つのも状況によるし、全体を見てどういうふうにしたらいいのかっていうのは2番に必要だと思う。だけど、去年に関しては、近本を一番生かせるのが1番だった。自由に打って、いい時に走って。フリーにさせることが一番いいことやと思ったから。俺はいつも考えるのよ、自分が捕手やったらどれが嫌かなって。そうなると、近本2番の方が嫌。昨季も何回か近本を2番に入れたんだけど、まだいい部分が(出ていない)なと思って。ルーキーでタイトル獲って、1年間ほぼ出るっていうのはすごいことなんだけど」

 新井「すごいですよね、すごい」

 矢野「でも、いい意味のマイペースさっていうのは持っているから。おごりや気の緩みっていうのは少ない選手やと思うよ」

 新井「僕もそう見えます。発言もそうだし、表情や雰囲気からも。ルーキーイヤーで活躍したけど、スキがないというか、賢いなと感じます」

 矢野「欲がすごくあるのよ。去年は開幕前から赤星の39盗塁以上走るって言っていて。36盗塁して盗塁王を取れたけど、あいつの中では39盗塁までいけなかったということの方に気持ちを置いていると思う。今年は50盗塁ぐらいしてもらいたい。勝手な理想としては2番に入ってくれたらほんまに面白いかなと思う。守備もレベルアップしてもらわないと困る、やることはいっぱいある。あんな活躍してくれて注文ばっかり出すのもアレやけど(笑)」

 新井「それだけ期待してるってことですよね」

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