ありがとうメッセ「世界一」のファンの前で「特別」な甲子園で7度舞い

 「阪神6-3中日」(29日、甲子園球場)

 阪神のランディ・メッセンジャー投手(38)が、甲子園で行われた中日戦で引退試合に臨んだ。先発マウンドに立ち、大島に対してオール直球勝負を挑んで日本通算1475個目の三振を奪った右腕。試合後のセレモニーではファンの大歓声をバックに愛したタテジマのユニホームに別れを告げた背番号54。ありがとう、メッセ!!その雄姿は絶対に、忘れない。

 みんなの声が胸に響いた。仲間の笑顔が心に染みた。何度も見た景色。だがこの日だけは違った。引退会見で「特別な場所」と声を震わせた甲子園のマウンドで、7度舞った。「日本に来て、中継ぎからスタートして最後に先発で終われたのはクレイジーな感じ。でもこの瞬間を忘れることはない」。心に流れる幸せな時間を惜しむように、かみしめた。

 現役最後のマウンド。ファンの目に少しでも自らの姿を焼き付けたかった。声援に少しでも応えたかった。ブルペン調整の前、普段のルーティンにはない外野でのキャッチボール。「皆さんの声援が届いたし、余計に気持ちも高ぶった」と、ファンとの時間を満喫した。

 そして初回。鳥肌が立つような大歓声が右腕を包んだ。初球147キロ直球はワンバウンドし、2球目もボールでカウント0-2。思わず苦笑いを浮かべたが、最後はフルカウントからの6球目、146キロ直球に大島のバットが空を切る。感謝の全球直球勝負。10年間の思いを込めた。

 今季は勝負の夏場を迎える前に2軍降格。自分から「辞める」と口にし、周囲を驚かせた。常に強くあり続けた男が漏らした最初で最後の「弱音」。来日1年目から人に「弱み」を見せず、登板後の治療でベッドに横たわることさえ嫌った。

 「戦いに入る前だから」と登板前日のマッサージは受けなかった。野球に対しての姿勢。それが右腕の誇れるものだった。その姿に仲間は心を打たれた。

 最後はグラウンドを一周して、声援に応えた。ありがとう、と声が飛ぶ。「タイガースファンは世界一。本当に感謝しています」。どんな時も励まされた。だから腕を振れた。誰からも愛された男が、大好きなタテジマに別れを告げた。

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