【手記】原口がん公表からスピード復帰「諦めなければ、いいことが待っている」

 「交流戦、ロッテ3-11阪神」(4日、ZOZOマリンスタジアム)

 大腸がんの手術から復帰した阪神・原口文仁捕手(27)が、デイリースポーツ読者に向けて「感謝」と題した手記をつづった。今年1月、病名を告知された際の心境から、いま明かされる病気の真実。公表から131日のスピード復帰を果たし、胸に宿す覚悟、使命を、ファンに向けたメッセージと共に語り尽くした。

  ◇  ◇

 阪神ファン、ロッテファン、多くの方々に拍手を頂いて、ありがとうございました。1打席目でいい結果を残すことができた。支えていただいた、多くの方々のおかげです。いまは本当に、感謝の気持ちしかありません。

 いま思い返せば、実は、2017年の6月くらいから、ずっと体に違和感がありました。体がだるくて、いくら寝てもずっと眠い、あくびが止まらない…で。変だなと思いながら、やっていました。昨年もシーズン中から体はしんどかった。そんなこともあって、一回、人間ドックを受けてみようかな、と。

 球団の検査でも、年末に自分で受けた検査でも、数値に異常がでた。それで年明けに内視鏡カメラを入れてみて、ガンが見つかったです。その時は本当に驚いて、「ガンってなるんや…」って。どこか人ごとに感じていたものが、いざ自分のもとに来たことが驚きで。その時はどうしようもなかったですね。

 告知された時は真っ先に娘と妻の顔が浮かびました。「娘が二十歳になる姿がみられないのか」、「妻がおばあちゃんになっていく姿が見られないのかな」って。妻には最初に伝えました。(オフシーズンで)地元に帰っていたんですが、驚いた感じですぐに戻ってきてくれて。最悪のことまで一度考えて、気持ちを落ち着かせてきてくれたみたいです。

 1人の時間は1日だけでしたが、ネガティブな思考にはなりませんでした。根拠のない自信ですけど、絶対に大丈夫だと思っていました。妻がすぐに帰ってきてくれたおかげで、本当によかったです。生きていることは、すごいことなんだと。やっぱり人は、1人では生きていけない。また1軍の舞台に立てることは素晴らしいことですし、いろんな人に元気を与えられる。

 本当に、プロ野球選手になれるということも、すごく運がいいというか、数少ない中でタイガースに選んでもらった。その中でまた、神様に「お前はガンだ」と。そういうチャンスを、またいただいた。一握りの経験をさせてもらっています。これは自分の使命。野球で活躍することで、いろんなことを届けられると思うと、すごくやりがいがあります。

 たくさんの人に支えていただきました。ファンの方もそうですし、病院の先生、看護師さん。家族、妻のお父さん、お母さんもそうです。いろんな人に支えてもらって、今日という日を迎えることができた。感謝の気持ちでいっぱい。最高ですね。明確な目標を口にするのは難しい。でも、捕手として試合に出たいですし、大事なところで打ってチームに貢献したい。その試合を、1つでも多く積めるようにしたいです。

 ここからがまたスタート、開幕です。いま、僕から皆さんに伝えられることは、とにかく楽しく、前向きに。絶対に諦めなければ、いいことが待っているということです。足が遅いですけど…(笑)、グラウンドを駆け回っている姿を見てもらいたいと思います。まずは皆さんが健康で、球場やテレビ、ラジオで野球を見て、聞いていただけるように。たくさんの人に楽しんでもらうのが、僕たちの役目なので。(阪神タイガース捕手)

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