金本阪神V逸の影と逆襲への光(3) 鳥谷以降生え抜き野手レギュラー出ていない

 なぜ前評判の高かった金本阪神は敗れたのか-。デイリースポーツでは4回にわたって「金本阪神V逸の影と逆襲への光」と題して検証する。今回は第3回。

  ◇  ◇

 昨年12月1日、故・星野仙一さんが自身の殿堂入りを祝う会の壇上で語りかけるように口を開いた。「もう2年ぐらい(優勝は)待ってください(笑)」。星野さんらしい親心だと感じた言葉は、今季の阪神を冷静に見据えたものでもあった。

 昨年は広島と10ゲーム差の2位だったが貯金「17」。1年目からの飛躍に周囲は3年目の優勝を望んだ。金本監督がキャンプ最終日に発した「3年間のチームの中では一番強いと思います」の言葉にも自信が見えた。そもそも戦う前から弱気な指揮官はいないし、2月の発言で揚げ足を取る気もない。ただ…。

 シーズン半ば、ある球団幹部は「昨年は打つ手がうまくいきすぎたところもあった。そこを差し引いて、チーム力を冷静に見た時にどうなのか」と話していた。つまり、描いた期待値が高すぎたのではないか。首脳陣が望む選手の成長や順位、ファンが期待するチーム像など、望んだ景色と現実との落差に誰もが苦しみ、悪循環に陥った1年になったように思える。

 では、なぜその落差が生じる形となったのか。結果が出なければ、指導力や采配など現場の力が問われるのは自然のこと。なぜ勝てないのか、なぜ選手は伸びないのか、など。ただ冷静にチーム力を見て、そもそも今季、本当に広島に勝てるチーム力だったのか。

 金本監督が就任してからの「3年」にとらわれてしまうところもあるが、今季の低迷はそこだけが問題でもないように映る。前出の球団幹部は「金本監督になって選手が成長しているのは確か」と話す。投打ともに若手を積極起用した3年間。だから理想通りに成長する…わけでもない。

 広島との差は、選手や現場だけの責任にはできない。他球団の編成担当者と今季の阪神について話した時、分かっていたこととはいえ、改めて聞いて実感したことがある。

 「鳥谷以降、(生え抜きの)野手でレギュラーを取った選手が出ていない。これは大きい。そう簡単に2、3年で野手は育てられないよ」

 理想に届かなかった3年目の現実。そこに払いきれていない数年の「ツケ」が存在する。

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