鳥谷、王手!藤田平氏の球団歴代最多安打に…七回代打で上原撃ちタイムリー

 「阪神1-2巨人」(23日、甲子園球場)

 阪神の鳥谷敬内野手(37)が0-1の七回2死一、三塁の好機に代打で登場。中前へ同点タイムリーを放った。これで通算2063安打とし、藤田平氏(本紙評論家)の持つ球団最多安打記録にあと「1」に迫った。3位巨人に本拠地5連敗で、今季甲子園では34敗目。ゲーム差も2・5に開いた。もうこれ以上、宿敵に負けられない。

 全員が鳥谷敬の背中を押した。打ってくれと切に願うファンの雰囲気が、聖地を異空間へと変えた。その直後、ボルテージが最高潮へと達した同点の中前適時打-。藤田平氏が持つ球団記録へあと1本と迫る2063安打目で、流れは変わったはずだったが…勝ち切れないチームの現状があまりにもつらい。

 場面は1点を追う七回だった。2死一塁から糸原が右前打でつなぎ、一、三塁と同点のチャンスを作った。ここで代打・鳥谷がコールされると、一気に聖地が沸いた。主役となり得る男の登場。「積極的に」と初球、上原の直球を強振してファウルにすると、確かな手応えをつかんだような表情へと変わった。

 続く2球目、「何とかつないでいこうと思って」と内角直球をコンパクトに仕留めると、打球は中前に弾んだ。スコアボードに1点が刻まれ、代走を送られてベンチにさがる背番号1に大歓声のシャワーが降り注いだ。偉大な記録にあと1と迫った鳥谷。ほとんど数字に興味を示さない男にとって、絶対に忘れられない1本のヒットがある。

 「それは覚えてるよ。だってプロに入って初めて打ったヒットだよ。忘れるわけがない」とキッパリ言い切ったベテラン。ルーキーイヤーの2004年、開幕戦の東京ドームで左前にクリーンヒットを放った。くしくもマウンドにはこの日と同じ、上原がいた。

 虎キラーと称された内海も「鳥谷さんは絶対にボール球を振ってくれない。すごくイヤな選手」と語っていた。本人は「そんなに巨人戦で打ってないよ」と謙そんしつつも、伝統の一戦という長い歴史の中で輝きを放ち、存在感を示してきた事実は揺るがない。

 そんな宿敵相手に価値ある一打で球団記録に王手をかけた。チームがCS進出を狙うには、もう24日の試合で巨人に負けることは許されない。「また明日、頑張ります」と力を込めた背番号1。たとえどんな状況でもファンのために全力を尽くす。記録のためではなく、勝ちにつながる1本のヒットを狙いにいく。

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