能見、感謝の通算100勝 V呼ぶ貫禄1回3K0封!

 「DeNA2-3阪神」(28日、横浜スタジアム)

 やったね、おめでとう-。阪神・能見篤史投手(39)がプロ通算100勝目を挙げた。同点の八回に登板し、1回を1安打無失点。3三振を奪う圧巻の投球で直後の勝ち越し点を導き、3連勝で3位に浮上した。

 花束を両手に持った能見が、カメラの前で恥ずかしそうに笑う。無数のフラッシュに、手荒い仲間たちの祝福。「胴上げや!!」。後輩たちが次々に握手を求め、自分のこと以上に喜ぶ姿が映る。長くチームを支え、積み重ねてきた歳月の反映。今季2勝目、プロ14年目の通算100勝到達だ。

 「逃げずに腕を振っていくだけ。迷うことはなかった」。連投となった出番は同点で迎えた八回だ。流れが相手に傾きかけた中でのマウンド。先頭の神里を3球勝負で空振り三振に斬ると、続く柴田もフォークで空振り三振に。1球のボール球もなく、強気の勝負だった。

 ソトに左前打を浴びたが、続く筒香との対戦。145キロの直球で追い込むと4球目、2球続けて内角勝負だ。ベテラン気迫の1球に、相手4番のバットは動かなかった。「自分のできることをしっかりね。一人一人、アウトを取ることだけ考えた」。3奪三振、12球の熱投で流れを引き寄せ、九回の勝ち越しにつなげた。

 「いろんな人に支えてもらっての勝利。リリーフにも、野手にも。僕1人ではできない」。球団の生え抜き左腕では山本和行以来、33年ぶりとなる節目の数字。「ピンと来ない」という。「何かを成し遂げたわけじゃない」。入団してからは「負けない投手」を目指し、チームのためを身上とした。積み重ねた100勝のうち、救援勝利はわずか4勝。それでも「先発もリリーフも変わらない」と言う。

 39歳。直球、フォークでねじ伏せたスタイルは、年齢とともに変化を余儀なくされた。「36、37歳くらいかな。投げれば忘れるけど、3時間くらい時計が進まないかな、投げたくないな…ってね」。登板前日は食事さえ喉を通らず、決まってカレーを流し込んだ。

 苦しんで積み重ねた勲章。その姿を知るからこそ、仲間はわがことのように喜ぶ。「本当にありがたいね」。ドリスから手渡された記念球は、共に闘う家族にプレゼントする。「目の前の一戦をね。腕を振って投げたい」。節目の先に戦いが待つ。支え続けたチームに支えられ、ベテランは次のマウンドに備える。

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