能見、リリーフで1回0封 配置転換もさすが「ゼロで抑えることだけ考えていた」
「交流戦、阪神2-3オリックス」(5日、甲子園球場)
ゆっくりと歩き出したはずが、気付けば小走りでベンチに駆けていた。26球に込めたプライド。ポーカーフェースを装っても、体は少しの興奮を隠せなかった。配置転換後、昇格即1軍登板。阪神・能見が1回を無安打無失点に抑えた。
「ゼロで抑えることだけ考えていた」。七回、まずは小田を宝刀フォークで空振り三振に斬った。続く福田に四球を与えると、吉田正のゴロを二塁・糸原がファンブル。併殺のはずが、一、二塁のピンチを背負う。だが、ここで崩れないのがベテランだ。
マレーロに1-1から3球目、リリースのタイミングに変化を加え、ほぼノーステップの高速クイックで二飛に抑えた。「いろんなことをやりながらね」。時に肘を下げ、時にテンポを速めるなど、試行錯誤を続けてきた。14年目、39歳。生き抜いてきた男の技だ。
「1つ、1つです」。最後は小谷野を遊ゴロに抑えて無失点。新境地を拓(ひら)く左腕に、金本監督も「早く慣れていって欲しい」と期待を寄せる。惜敗の中、明日につながる26球。チーム投手最年長が再び戦線に帰ってきた。