糸井 150号で今季甲子“宴”初G倒 菅野にイッポン勝ち!3連勝&5割復帰導いた

 「阪神1-0巨人」(25日、甲子園球場)

 節目の一発でチームに勝利をもたらした。0-0の五回、阪神・糸井嘉男外野手(36)が均衡を破る先制ソロを放った。難敵・菅野から甲子園チーム初アーチとなる一撃は、プロ野球通算167人目となる150号本塁打。頼りになる男の一振りが、チームに3連勝、勝率5割復帰をもたらした。

 技術という言葉を超越していた。おそらく糸井にしか打てない弾丸は、浜風をものともせず右翼席へ突き刺さった。ベンチで記憶内にある過去ページをめくっても出てこない一発。カットボールが曲がりきる前に仕留めた通算150号に「本当に…どうやって打ったか分からない」と苦笑いを浮かべる。

 菅野の前に初回から13者連続凡退で迎えた五回1死からの第2打席。「コースにえぐい球が来ていたので、とにかく真っすぐを待って」とイメージを膨らませた。カウント2ボールからの3球目、狙い通りの直球と思って打ちにいった球が内側に切れ込んできた。常人なら空振りするはずだが…糸井は違った。ボールが変化し始めた直後を引っかけるようにすくい上げた。

 ありえないほどポイントを前に置いても、しっかりと打球を飛ばした糸井のパワー。腰砕けにならなかった超人のスイングは、菅野のパーフェクトを打ち崩し、虎の子の1点を生んだ。金本監督は「彼の能力からすれば遅いぐらいでしょう。あのフリー打撃を見てたら、300本ぐらい打ってもおかしくない(笑)」と称賛を惜しまない。

 「また練習せなあかんくなるからね。移動日に…」と言った糸井。前回、甲子園で行われた伝統の一戦は、宿敵に同一カード3連敗を食らった。その初戦、菅野の前に4打数無安打に終わり、適時失策で投手陣の足を引っ張った。

 3連敗した3連戦中は11打数無安打。松山への移動日となった翌日には急きょ、予定を変更して全体練習が行われた。たとえ休日でもトレーニング、体のケアなど野球のことを考え、野球に没頭できる時間にするという糸井。活躍できずにやりたいことがやれなくなった。その悔しさを一切隠さず、ただリベンジの炎を燃やした。

 勝ちたいという強い気持ちがなければ生まれなかった一発、そして白星。「巨人には分が悪いというのは言われていたので、菅野くんに勝ててよかった」と糸井は充実感を漂わせた。チームも勝率5割に復帰し、交流戦前の貯金も見えてきた今-。なおさら超人の力が欠かせない。

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