上本、V弾4の4!プロ初本塁打の地で虎の桃太郎が竜退治や

 「阪神10-1中日」(11日、倉敷マスカットスタジアム)

 無心でバットを振り抜いた白球は、左翼方向に高々と放物線を描く。夢中で一塁に駆ける。着地点を確認するとようやくスピードを緩めた。五回終了時には花火が打ち上げられた一戦。試合は阪神・上本の決勝弾&4安打で、鮮やかに倉敷の夜を彩った。まさに千金弾だ。

 「少しできすぎですが、勝ったことが一番うれしいです!!」。1-1で迎えた三回だ。ファウルで粘ってフルカウントから11球目。ジョーダンの内角低め、148キロ直球を狙った。執拗(しつよう)な内角攻めを打ち破った一発。3試合ぶりの5号ソロは、打線爆発の呼び水となった。

 2011年7月1日・横浜戦(現DeNA)。上本はここでプロ初本塁打を放った。地元の広島県福山市は車で1時間の距離。広陵高時代には何度も試合で訪れた球場だ。「実家が近いこともあって、何かいいことがあるのかなと思います」。郷愁の思いにも駆られながら静かに笑った。

 プロ9年目。昨年まで選手会長も務めた男が、背水覚悟でシーズンに挑んでいた。開幕から二塁の定位置をつかんだが、5月5日の広島戦(甲子園)で右足首を捻挫。出場どころか抹消も検討された。だが、金本監督が1軍帯同を決断。結果的にスタメン復帰まで13日を要したが、指揮官の思いに心が震えた。

 「前までだったら、抹消されていたと思います。それでも監督に残してもらった。感謝しています。僕は目の前のことを一生懸命、やるしかないので」

 四回に右前適時打、五回に左中間適時二塁打で4安打3打点の固め打ちだ。サイクル安打も視界に捉えたが、金本監督は「暑かったし、体力がないから(笑)」と六回の守備から交代。前半戦の最後の一戦に備えた。「来た球に食らいついて1試合、1試合頑張ります」と上本。感謝の思いをバットに乗せ、夢中でグラウンドを駆ける。

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