糸井、通算250盗塁達成 2人の盗塁王との出会いで進化
「阪神2-6DeNA」(28日、甲子園球場)
大きなストライドで走る姿が映えた。二塁上で花束を掲げながらファンの大歓声に応える。阪神・糸井がプロ通算250盗塁をマーク。聖地に詰めかけた大観衆が見守る中、節目の数字に乗せた。
その瞬間はいきなり来た。4戦連続で1番に座った糸井が初回に四球を選ぶ。続く上本への5球目でスタートを切ったがファウルに。仕切り直しで狙ったのは7球目。相手バッテリーの警戒をかいくぐり、プロ野球45人目の大台に到達させた。
偉大な人たちとの出会いがきっかけだ。「2人の盗塁王が来て意識が変わりました」。オリックス時代の昨年、現役時代に盗塁王4度の西村ヘッドコーチと3度獲得した高橋打撃コーチに教えを請うた。
リードの取り方や無駄な動きを省いたスライディングなど、地道に走塁技術を磨いて昨年53盗塁。最年長タイでのタイトル奪取となった。「『俺の数字は超えろよ』と話しました」と西村ヘッドが期待するのは、自身が88年にマークした55盗塁のクリアだ。
懸命の守備だった。三回2死二、三塁。ロペスが打ち上げた中堅前への飛球を追いかけた際、遊撃・大和と交錯。その際、大和の左腕が顔に当たり倒れ込んだ。打球は大和のグラブからこぼれ落ち、逆転の2点適時二塁打となった。
起き上がれない。聖地に緊張が走る。しばらくして糸井は自力で立ち上がり、タオルで顔を押さえながらベンチ裏へ。約10分間の治療を受け、再びグラウンドに戻ってプレーを続行。退かない姿勢でチームをもり立てようとした。
積み重ねてきた数字もチームが敗れれば笑顔はない。試合後は言葉を発することのなかった糸井。まだまだ通過点。次こそは心から喜べるプレーを見せる。