北條V撃で鯉と1差 “奪首”の5月へ「かっこいいプレーどんどん見せていく」

 「阪神3-2中日」(30日、甲子園球場)

 今季最多の4万6351人の観衆で埋まった聖地が沸いた。同点の八回2死満塁から、阪神・北條史也内野手(22)が決勝の右前適時打。4月最終戦を白星で締めくくり、貯金は今季最多タイの4。首位・広島に再び1差に迫る逆転星。金本阪神も黄金週間に突入や-。

 自分を信じるしかなかった。誰も助けてはくれない状況で、北條は「外角しかない」と覚悟を決めた。同点の八回2死満塁、カウント2ストライク-。崖っぷちに追い込まれた状況から完璧に捉えた打球は右前に弾んだ。そして聖地にこの日一番の大歓声が沸き起こった。

 勝負を決めた右前適時打。一塁塁上で北條は白い歯をこぼし、力強く手をたたいて喜びをかみしめた。それまで3打数無安打ながら片岡打撃コーチから「おいしいとこやんけ」と言われ、送り出された第4打席。2球目に低めのボール球に手を出し、追い込まれた。

 「ボール球を振ってしまって…もう内角はない。当たってもいいから、思い切って踏み込んでいく」。その強い心が左足をベース寄りに踏み出させ、外角に甘く入った直球を仕留めた。いつも早出特打に付き添う金本監督も「追い込まれた場面で、なかなかそんなヒットは打てない。本当によく打ってくれた」と目を細める。

 「今日の結果なら普通は代打を送られてもおかしくなかった」。お立ち台の後、北條は冷静にそう明かした。客観的に自分自身の置かれた現状を把握できる才能-。ブレーク前の昨年1月、自主トレ期間中で静まりかえった午後、鳴尾浜のフェンス際を北條は1人で黙々と走っていた。雪が舞う中でも走るのをやめなかった。

 その姿を見た掛布2軍監督は「野球の怖さが分かったんだろうね」と言った。当時、入団4年目。仲良くしてくれた先輩は日の目を見ないままユニホームを脱いだ。過酷な生存競争を生き抜くために自分は何をすべきか-。練習しかなかった。一寸先にある闇への恐怖心を消すため、北條は今、懸命にバットを振っている。

 野球の怖さを知り、怖さを乗り越えたからこそ生まれた極限での決勝打。歓喜のお立ち台で「皆さんの前でかっこいいプレーや、すごいプレーをどんどん見せていく」と北條は誓った。貯金4で4月をターンし、首位・広島とは再び1ゲーム差。芽生えた自信と養った強い心を持ち、“奪首”の5月へ向かう。

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