虎打線、意識変えて犠打量産 リーグ最多15個!バントが決まるようになった理由

 独自の視点からプレーの深層に迫る「虎目線」。阪神は開幕から13試合を消化し、チーム犠打数はリーグトップの15を数える。昨季は送りバントが決まらなかった経緯もあり、金本監督は「去年との違いはバントが決まるようになったこと」と言う。その要因は何か-。選手個々が考えて成功するための準備を施す一方、首脳陣もベンチでミスを厳しくとがめない方針があった。

 開幕から5カードを消化し、3つの貯金を作れている1つの要因が送りバントだ。犠打数はリーグトップの15、うち半数以上が七回以降に決まっている。重圧がかかり、相手もバントをさせないようにシフトを敷く中で成功する秘訣(ひけつ)は何か-。高代ヘッドコーチは技術的な視点からこう明かす。

 高代ヘッドコーチ「キャンプの練習からずっと言っているけど、準備を早くして、ちょっと(ボールを)受けるみたいにやっていこうと。本当は前でやらなあかんけどね」

 バントの鉄則として、ベースの前で、顔の前でという格言がある。最もボールが見える位置でバットに当て、ファウルゾーンに転がる確率を減らすためだ。ただ“前で”の意識が強ければ、ハードヒットしてしまい、打球が死なないまま野手の正面に飛ぶ。ボールをこすればフライになる確率も高い。

 意識を受け気味に変えることで、ボールの勢いを殺し、成功確率を高める。14日の広島戦でスリーバントを決めた北條の練習法を見ていると、初めにホームベースから3メートルほど前に出て、距離を縮めてバントを繰り返し、その後、通常の位置に戻って練習を積む。

 北條「前でやって、後ろでやってというやり方は坂本(誠志郎)さんに教えてもらいました。後ろでやる方が難しいですよ」

 ただバント練習をするのではなく、成功する方法を考えながらやる。その意識は実際の打席の中でも見受けられる。リーグトップの6犠打を決めている梅野は打席での立ち方を工夫。バントの場面では、あらかじめグリップの右手と左手を離してバットを持つ。

 梅野「構え遅れをしないように準備するため。あとバントと思わせておいて、エンドランをするとか、キャッチャーとして相手が嫌がることをと考えています。手を離すことで(エンドランの際に)ヒットゾーンも広がるんじゃないかと」

 選手個人が送りバントに対して高い意識を持つ中、首脳陣もベンチで選手に対する接し方を変えた。「バントは気持ちが大事」と語る片岡打撃コーチはこう明かす。

 片岡打撃コーチ「去年は監督が『厳しく、明るく』と言っていたけど、今年は『明るく、厳しく』という形でね。ミスを指摘するよりも、まずいいところを見ていこうとキャンプからやっている。ミスをしても取り返すという空気がゲームの中で出てきたしね」

 勝負どころで決まるバントが攻撃の流れを生む。仲間の犠牲を後続が得点に結び付ける-。その好循環が接戦を勝ち切り、白星を積み上げている確かな原動力となっている。

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