猛虎新打線!62年ぶり開幕2桁得点 虎史上初、クリーンアップ全員が猛打賞

 「広島6-10阪神」(31日、マツダスタジアム)

 一塁ベースを回った阪神・福留が右拳を握りしめた。どうしてもほしかった追加点、広島の戦意を消すダメ押し点-。右翼席に飛び込んだ白球が、寒さを吹き飛ばした乱打戦に終止符を打った。オープン戦で不振にあえいだ中軸の姿はもう、なかった。

 「どうしても追加点がほしい場面だったので」と振り返った主将。守りのミスが重なり、2点差に迫られた九回、1死一塁から薮田が投じた真ん中低めの直球を完ぺきにすくい上げた。

 美しい放物線を描いて右翼席に飛び込む1号2ラン。指揮官も「めちゃめちゃ大きかった」と手放しで褒めちぎった。「いい形で捉えることができた」と四回の第3打席で好機を拡大する右前打。六回にも右前打を放ち、オープン戦打率・103から修正した姿を見せた。

 前を打つ糸井も3安打3打点の猛打賞。5番を託された原口も「孝介さんが1人、走者をかえしてくれたので楽になった」と初回に貴重な追加点となる左中間適時二塁打を含む3安打1打点。開幕戦でクリーンアップの猛打賞そろい踏みは史上初で、2桁得点は1955年以来、62年ぶりの快挙だ。

 球場入り前、チーム宿舎で行われた出陣式。「みんなで一つの勝利にこだわって、しっかりやっていきましょう」と福留は語りかけた。1勝にこだわる姿勢、1勝をどん欲につかみにいく姿勢。PL学園3年時以来となる主将で、福留はその経験を基に思いの丈をチームに伝える。

 今季の開幕前、休部していた母校は正式に高野連を脱退した。野球のイロハを教わった伝統校はいったん、歴史に終止符を打った。「寂しいよね。でもこれが新しいスタートになるかもしれないし」と復活を願い、新たな気持ちで臨んだ19年目の開幕戦。頼れる主将、頼れる4番が、猛虎が変わるために必要な1勝を呼び込んだ。

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