西岡“オカン”藤山直美に魂のエール打 負けたらアカン!ともに復活を

 「阪神2軍春季キャンプ」(18日、安芸)

 左アキレス腱断裂からの復活を目指す阪神・西岡剛内野手(32)が18日、昨年7月の負傷以来7カ月ぶりとなる屋外でのフリー打撃を行った。17日に母のように慕う女優・藤山直美(58)が乳がんで治療に専念することが発覚。ショックな気持ちは隠しきれなかったが、これまで何度も背中を押してくれた恩人に向けて、今度は自らがバットでエールを送り届けた。

 俺は再び甲子園に立つ。だから、オカンも病気に負けたらあかんで。2人とも復活しよう-。負傷後初となる屋外フリー打撃。西岡は特別な思いを持ち、バットを握った。

 「藤山直美さんから(乳がんの)報告を受けて、『頑張れ』というエールを込めて、初めて外で打った」

 藤山とはロッテ時代から親交を重ねる間柄。藤山は以前、巨人などを応援していたが、西岡の阪神移籍を機に阪神ファンへくら替え。西岡も親しみを込めて「オカン」と呼び、親子のような関係を築いてきた。

 昨年7月20日・巨人戦でアキレス腱断裂後には、すぐに連絡をくれた。「死ぬ以外はかすり傷や。頑張れとは言わん。やれ!」。現役続行への気持ちが揺らいでいた時、藤山の言葉は再起への後押しとなった。

 今春のキャンプ前にも食事を共にした。ただ、その時には乳がんのことは伝えられておらず、17日に病気が公となる前に連絡を受けたという。

 本音を言えば、直接会って励ましたい。だが、今はキャンプ中。この日の練習前には、自身の公式インスタグラムで藤山への思いをつづった。そして明るい話題を届けるために、屋外フリー打撃再開へ踏み切った。

 「今度は俺がパワーをあげる番」

 アップ後に坂道ダッシュ、室内練習場でのノックなどを終えると、安芸市営球場へ移動。「思い切り振るだけ」。打撃マシンを相手に、最初は左打席で50スイング。安打性の打球を19本放った。

 右打席へ移ると、19スイング目に初の柵越え。スタンドから歓声が湧くと、手を挙げて応え、今キャンプ初めて上着を脱いでユニホーム姿を披露した。

 右打席では45スイングで、安打性の打球を15本放った。このオフは8キロ体重を落とし、78キロでキャンプイン。キレのあるスイングに減量の成果が見えた。

 40歳を超えても引き締まった体を維持するマーリンズ・イチローを見て原点に返った。「選手にはタイプがある。失敗を認めて、ロッテで結果を出したスタイルに戻した。最短距離でバットのヘッドを走らせれば飛ぶ」。206安打を放ち、首位打者に輝いた2010年のようなスイングを取り戻そうとしている。

 この日のフリー打撃で柵越えは4本だった。まだ万全ではない体で放った力強い打球。それは離れた地で病魔と闘うオカンへのメッセージだった。

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