糸井の膝は「軽傷」 二人三脚で復帰への道を歩む本屋敷トレーナーが断言
右膝関節炎からの完全復活を目指す阪神・糸井嘉男外野手(35)。沖縄・宜野座キャンプに帯同しながら別メニュー調整を続けているが、7日に始まる第2クールから徐々にリハビリの強度を上げていく。二人三脚で復帰への道を歩む本屋敷俊介トレーナー(41)に現状の見解を聞いた。
突然の発表は1月24日の夜だった。糸井が、右膝関節炎のため1軍キャンプに帯同するものの別メニュー。突然の事態に球団内は揺れ動いた。重傷を心配する一部関係者もいる中で、2月1日。“超人”は宜野座ドームで静かに球春を迎えた。
球場近くのプール施設で体をほぐし、戻ってきてからは体幹トレーニング。ドーム内でキャッチボール、座りながらのティー打撃を行い、最後にウエートトレーニングとマッサージ。一連のメニューを5日間こなした。まだ状態を不安視する声もあるが、本屋敷トレーナーは断言する。
「軽傷で良かった」
糸井とは、コンディショニングコーチを務めていたオリックス時代に出会った。13~15年の3年間、肉体強化に励む男のそばに寄り添った。だから、今回のリハビリも一番近くでサポートする。奇跡の復活を遂げ、通算525本塁打を放った大打者と同じように-。
「飛距離が出るパワーバッターにとって、膝はものすごく負担のかかる箇所なんです。清原さんも同じように苦しんでいたし、松井秀喜さんも金本監督も痛めていましたよね」
07年、左膝痛で「再起不能」とみられていた清原の専属トレーナーを務め、手術を経て、二人三脚で実戦復帰にたどり着いた過去がある。左膝半月板を損傷した現役時代の金本監督、左膝軟骨損傷を引退するまで引きずった松井も知っている。
重量感あふれる体をフルに使い、全身のパワーをボールに伝えることで飛距離が生まれる。だが一方、足には想像以上の負担がかかると言われる。「骨と骨が関節で『ギギー』とこすれる感じで炎症になってしまう」。187センチ、88キロの糸井にも同じような傾向があるという。
一度悪化させてしまえば、激しい痛みと長いリハビリが待ち受ける。想像を絶する経験をしたからこそ、同じ轍(てつ)は踏みたくない。糸井が今、歩行にとどまるのは慎重な姿勢の表れだ。
第2クールから「徐々に足を地につけてやっていきます」と、走るメニューを少しずつ取り入れる。それでも「ダッシュはしない」。キャンプ直前、糸井は2月中旬を全体練習合流の目安としたが慎重を期す方針の下、同下旬から3月上旬へとずれ込む見込みだ。
「とにかく無理させない。本人は『できます』と言うんですけどね。コントロールするのに必死です(笑)」
糸井は第1クールを「充実していました」と振り返った。照準は3月31日の開幕・広島戦。本屋敷トレーナーの強力なサポートの下、間違いなく前進している。