青柳、無念過ぎる…完封ペースが、一瞬で白星フイ
「阪神1-3巨人」(8日、甲子園球場)
左翼席に消えた打球をベンチからぼう然と見つめた。阪神・青柳晃洋投手(22)がプロ最長の7回1/3を投げたが、降板直後に藤川が逆転被弾。白星が一瞬にして、黒星に反転した。報われなかった100球、2失点の粘投。胸に抱える悔しさは勝利でかき消すしかない。
青柳がベンチ最前列で表情を失った。マウンドを譲った直後だ。セットアッパー・藤川が代打・坂本に逆転3ランを被弾。ルーキーの好投は報われず、白星はスルリと逃げた。
「警戒してフォームがバラバラになってしまいました。今日一番の反省点です。やっちゃったなあと…」
プロ初完封が視界に入り始めた自己最長の八回、落とし穴が待っていた。1死から巨人が代打攻勢。代打・堂上へのチェンジアップが抜けて、死球を与えると、間髪入れず代走・鈴木をコールされる。足のスペシャリストの登場に甲子園はザワザワ。けん制を入れて間を置くが、すでに相手の術中にはまっていた。代打・長野への2球目のツーシームも内角へ抜け、2者連続死球。球数ちょうど100球。ここが限界と判断され、ベンチからタオルが投げられた。
「死球、死球でランナーを出して、動揺していた。ボールも抜け始めていたから」
継投について、香田投手コーチは渋い顔でそう説明した。結果は7回1/3を3安打2失点で5敗目。これで巨人戦1勝3敗となったが、鮮やかな快投が色あせることはない。新Gキラーらしく成長の跡も刻んだ。
今季4度目の対戦となる巨人打線は、野手8人中5人が左打者。初回は左の亀井、ギャレット、阿部に3連打され、1死満塁のピンチを招いた。嫌な空気が充満したが、村田を二ゴロ併殺に切ると、二回から七回まで無安打投球。三者凡退イニングを5度作り、攻撃へリズムをつなげた。
「(これまで)インコースに投げられていなかったので。(今日は)打球が前に飛ぶことが多くなって、球数も少なくできました」
コーチと話し合い、中11日の間に計3度ブルペン入り。苦手克服のため、左打者を立たせて、内角を突く特訓に励んだ。指揮官に見いだされた伸び盛りの22歳。成果はすぐさま投球に表れた。次回は16日・DeNA戦(甲子園)の先発が予想される。無念の経験も糧としながら、大きく育っていく。