鳥谷執念V打!不振のキャプテンが底力

 「阪神8-4ヤクルト」(19日、甲子園球場)

 こん身の力でバットを振った。ありったけの力をインパクトに込めた。フラフラと右前に上がった打球に、息を止めたファン、選手の視線が集まる。白球が緑の芝生に弾むと、聖地のボルテージは最高潮に達した。不振にあえぐ阪神・鳥谷敬内野手が、“底力”で試合を決めた。

 場面は同点の八回だった。無死二、三塁で迎えた第4打席。1ストライクからの2球目、「細かい事は考えず、直球が多いので」と内角高めのストレートに食らいついた。

 聖地に響いた鈍い打球音。だが、甲子園の上空を不規則に舞う風に踊らされた打球は、右翼・雄平のグラブをかすめて右前に落ちた。9試合ぶりの打点となる決勝の右前適時打。「いいところで打てて良かった」と冷静に振り返り、「ボールの見え方とか、アウトになっても自分の感覚と打球の感覚が合うようになってきた」と言う。

 開幕から過去に類を見ないほど、不振のどん底にいた背番号1。タイミングが合わず、悠然とボールを見逃す姿が打席から消えた。フォームの間が取れず、打ってもバットとボールが正面衝突するような打球が多かった。

 若手が躍動する中、日に日に厳しくなるファンの声-。そんな逆風にあらがうように、先週末の名古屋遠征では人知れずブルペンで打ち込みを行った。その中で足の上げ方を変えるなど、復調への“ヒント”を見つけた。

 この日、先週の甲子園でのDeNA戦とは全く違う形で打撃練習に取り組んでいた鳥谷。今までもやるべき事を自分で考え、必ず結果を出してきた。プロとして、他の若手の追随を許さなかった。

 お立ち台で「震災もあって大変な時ですけど、しっかり野球というスポーツで元気を与えられるようなプレーをしたい」と力を込めた主将。8年ぶりに座った5番。当たりは悪くても、連敗を止めた決勝打に鳥谷のプライドが詰まっていた。

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