金本監督“逆転弾”高山当たっていた!

  「プロ野球ドラフト会議」(22日、グランドプリンスホテル新高輪)

 阪神はドラフト1位で指名した明大・高山俊外野手(22)の交渉権を獲得した。ヤクルトと競合して抽選となり、阪神は金本知憲新監督(47)、ヤクルトは真中満監督(44)がくじを引いた。真中監督が大喜びして「当たり」をアピールしたが、これが何と勘違い。逆転で阪神が交渉権を獲得するミラクルが起こった。

 ドラフト史に残るハプニングが起こった。金本監督がスカウト陣と外れ1位の協議に取りかかろうとしたそのときだ。NPBの事務員が慌ただしくヤクルト、そして阪神の円卓に向かい、事情説明に奔走した。そして次の瞬間、高野球団本部長、佐野統括スカウトが立ち上がり、新人監督の肩を抱き寄せた。

 「確認のミスがございました。当たりくじを引いたのは阪神球団です。誠に申し訳ございません」。異例の謝罪アナウンスに燕党からは大ブーイング。金本監督は右拳を突き上げ、堂々再登壇した。

 「あれだけ真横で喜ばれたら、見ても仕方ないだろうと思って見なかったんですけど、まさにビデオ判定の逆転ホームランでした」

 ミラクルなグッジョブだった。1位指名した高山の交渉権をめぐり、ヤクルトとの一騎打ちになった。金本監督は真中監督とともに登壇し、2枚の封筒が入った抽選箱に左手を挿入。一度つまんだ封筒を落とし、もう片方を引きあげた。敵将が残りくじを引き、緊張の瞬間が訪れる。「開けてください」の合図から静寂の2秒半。左隣の雄たけびに圧倒され、金本監督は開封しないまま壇上を後にした。

 「持ち替えて外れたので、あちゃ~と思った。真中監督の叫び声にだまされて(封筒の中を)見なかった」。客席に陣取った虎党のため息を背に円卓へ戻り、両肘をついて息を吐いた。「くじ運は弱い」。前夜吐露した弱音が現実のもの…とはならず、まさかの起死回生で交渉権を獲得した。

 夕方4時43分のドラフト会場入り直前までスカウト陣と議論を交わした。前日、高山が右手有鉤(ゆうこう)骨を骨折していることが判明したが、「関係ない」と長期的なビジョンを重視し、迷わず指名に踏み切った。

 「将来的に3番、4番を打てる可能性のある選手ということで選んだ」。指名終了後、車で1時間かけて明大まで指名のあいさつに出向いた。「ホームランを打てる打者を目指して欲しい」と、高山の肩に手をやった。金の卵の第一印象を問われると「顔は負けました」とにやり。「きょうは満点に近いね」と初陣を総括した。金本阪神にミラクルの予感が漂った。

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