鳥谷6度目猛打賞で2位浮上導いた

 「阪神3-0DeNA」(26日、甲子園)

 1番に座るキャプテンが、打線をけん引した。阪神・鳥谷敬内野手(34)が、二回の先制2点適時中前打を含む3安打を放ち、今季6度目の猛打賞をマークした。チームは貯金1で2位浮上。後半戦は2カード連続勝ち越し。チームの歯車が、ここへ来てかみ合ってきた。

 鳥谷は1番がよく似合う。二回2死二、三塁。メッセンジャーの進塁打で整ったお膳立てにグッジョブ!と最敬礼で応えた。平行カウントから外に沈むフォークにアジャストし、二塁手の左を突破。中前へ痛快なゴロを転がした。逆転負けを喫した前夜の憂さ晴らしとばかり2者を迎え入れ、盛夏に映えるハッピーイエローのスタンドを派手に揺らした。

 「ランディが投げる試合では、なかなか早い回に点を取れていなかったので何とか!という思いだった。強振せず、野手の間を抜ければと思っていた」

 初回、山口の初球146キロを中前へかっ飛ばすと、二回の快音で加勢。四回にも外角の149キロを左翼へ運び、今季6度目の猛打賞。前日ノーヒットで連続試合安打は7で止まったが、47試合で担う1番で打率は・321まで上昇してきた。

 12日の巨人戦でリードオフマンに復帰して9戦目。熱帯夜でも、水を得た魚のようにバットをしならせる。お立ち台でメッセと江越に挟まれ、クールな主将が照れ笑いを浮かべた。「ウル虎の夏」と題し、真っ黄色に染まる観客席を見渡し「一体感を感じるし、すごく力になります」と、ファンの前で珍しく表情を崩した。

 最終回、最後の打者石川の遊ゴロを華麗にさばき、試合を締めた。寸分狂いない一塁送球は、ルーティンを欠かさないたまものだ。試合前練習で受けるノックは山なりと全力のスローイングをミックスさせている。一塁で捕球役を務める打撃投手陣は「緩くても回転がいい」と口をそろえる。脱力しながら力の伝わる送球を意識的に投げることで「鉄壁」に磨きをかけてきた。

 二回に今季8つ目の失策を犯した。宮崎の鋭い打球を好捕したまでは良かったが、一塁へ悪送球。失点にはつながらなかったが、自身を律するように首をかしげた。6月のヤクルト戦で背中に死球を受け、体調が依然万全とは言えないが、連続試合フルイニング出場を522まで伸ばす名手が、体調を報道陣に公開することはない。

 今季97本目の安打で積み重ねた安打数は1708。メジャーを断念し迎えた15年シーズンは掛布雅之、原辰徳、藤村富美男の通算安打を超え、名実ともに一流の道を歩む。虎の軸、鳥谷が混戦突破の旗頭になる。

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