また“恋人”を獲得できなかった…。阪神・中村勝広ＧＭ（６５）が２４日、西宮市の球団事務所で取材に応じ、オリックスから国内ＦＡ宣言した金子千尋投手（３１）の代理人から、前日の２３日に断りの電話があったことを明かした。金子はこの日、オリックス残留を表明。超大物右腕の獲得失敗を受け、今後はトレードで先発投手の補強を模索する。

　超大物右腕の獲得に失敗した。虎にとっては当然、痛恨だ。中村ＧＭの表情が成否を如実に表していた。金子の代理人から前夜に届いた悲報。沈痛な表情で取材に応じた。

　「初めからこの案件は雲をつかむレベルだった。当然、あれだけのピッチャー。攻めないといけないと思いました」と玉砕覚悟で金子争奪戦に挑んだ経緯を説明した。

　今オフのＦＡ市場で最大の目玉だった。争奪戦になることも覚悟の上で阪神は動いた。１９日に最大４年の大型契約など複数パターンの条件を金子サイドに提示し、極秘裏に金子本人とも交渉していた。

　「（金子が）会ってくれた」と中村ＧＭは明かした。直接交渉した日にちについては「言えない」としたが、恋人に最大限の誠意と熱意を伝えた。だが、虎の夢は無情にも断たれた。

　今オフの補強は大苦戦続きだ。前アスレチックスの中島はオリックスに奪われ、ＦＡでの獲得を目指していた中日・山井と日本ハム・宮西は残留を選択。ロッテからＦＡ宣言した成瀬はヤクルトに移籍した。

　ただ、阪神の重要な補強ポイントが先発投手であることに変わりはない。球団幹部は「優勝するにはそこ。（来季の補強）期限まで何が起こるか分からない」と今後はトレードによる先発投手の補強を模索していく方針を示した。

　球団側は同時に、海外ＦＡ権を行使した鳥谷の慰留に全力を注ぐ。１０年ぶりのリーグ優勝に向けて、打てる手はすべて打つ。