マートンV3ラン!300打点ペースや

 「ヤクルト8-15阪神」(6日、神宮)

 マー君はすごいが、マートンもすごい。毎度の投壊はひどい。それでも阪神は逆転勝ちを収めた。大殊勲はマット・マートン外野手(32)だ。決勝3ランを含む4安打4打点と連日の大暴れ。手をつけられないリーグ3冠王助っ人と早急に手を施す必要がある投手陣。現状の光と影がコントラストを描いた。

 完璧な手応えが両手に残った。左翼席へ向かう弾道を確認すると、ゆっくりと一塁へ向かって走りだしたマートン。大歓声に引き寄せられるように、決勝3ランが虎党の中に吸い込まれた。乱打戦に終止符を打つ一撃。もう誰も、今のマートンを止められない。

 3点を追う八回。大和、ゴメスのタイムリーで同点に追いつき、なお1死一、二塁で迎えた第5打席。カウント1ボールからの2球目、山本哲の142キロの内角直球を捉えた。打った瞬間に行ったと分かる4号3ラン。「良い形で打てたと思う」と納得の表情で振り返る一打は、苦い記憶を何度も何度も反すうした結果だ。

 「ストッパーを打ちたいんだ」。2月のキャンプ終盤、マートンはこんな言葉を口にしていた。昨季は巨人の西村、山口、マシソン、DeNA・ソーサら速球派のリリーフ投手を打ちあぐねた。速球に弱い‐。他球団からは確かな“弱点”として認識されていた。

 だからこそキャンプ、オープン戦を通じてフリー打撃では相棒の中井打撃投手に至近距離からの全力投球を要求。開幕前日の公式練習でも内角高めの直球を何度も何度も左翼席へたたきこんだ。そしてこの日も練習でイメージした通りの一発。関川打撃コーチは「その成果が出てきている」と目を細めた。

 5試合連続打点は10年の来日後、自己最長。第2、第4打席の右前打、そして第6打席の右中間適時打を含めた今季初の4安打で3試合連続猛打賞だ。この3連戦は計10安打、12打点。年間300を超すペースで打点を量産し続ける男に、和田監督も「神懸かっているように見える」と称賛を惜しまない。

 ヒーローインタビューで打撃の状態を問われると「ワカラナイ…」と苦笑いを浮かべつつも「理想の形には近づいてきている感じがする」。三回の守備では3失点につながる手痛い失策(落球)を犯したが、それをバットで取り返した。チームは今季最多の20安打で3連敗を阻止。その勢いを生み出すマートンが止まる要素は、全く見当たらない。

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