鳥谷V打諦めん!4時間55分死闘制した

 「中日5‐6阪神」(10日、ナゴド)

 4時間55分の長い長い戦いを、キャプテンが制した。阪神・鳥谷敬内野手(32)が同点の延長十二回、1死三塁から勝ち越しの中前適時打を放った。踏ん張りどころの状況で、引き分け目前に見せたチームリーダーの意地。まだ、虎はあきらめない。

 一振りですべてを吹き飛ばした。若手のミス、采配の失敗を鳥谷がすべて無に帰した。前進守備の二遊間を痛烈に破っていった打球。延長十二回、待望の勝ち越し点に鬼門のナゴヤドームが沸いた。4時間55分の熱闘にピリオドを打ったのはキャプテンのバットだ。

 「チャンスだったのでストライクゾーンに来たらいこうと」。延長十二回、選手会長の関本が突破口を切り開いた。二塁打で出塁。大和が送りバントに失敗しながらも、鳥谷の3球目にパスボールで代走・田上が三塁へ進んだ。

 またとない絶好の好機。直後の4球目、ど真ん中の149キロ直球をきれいに振り抜くと、打球は痛烈に二遊間を破る決勝タイムリー。「投手陣が頑張ってしのいでくれていたので」と必死にバトンをつないだ投手陣に報いたかった。初回には1死一塁から前夜の悪いムードを断ち切るかのような右翼線適時二塁打。スタートを切っていた大和が一気に生還し「よく走ってくれた」と若虎をたたえたが、17試合連続安打と鳥谷の勢いはとどまるところを知らない。

 正念場の8月に自己記録の18試合連続安打にあと1と迫る“強さ”の秘けつ‐。毎年、夏場に調子を上げてくる要因を、伊藤トレーニングコーチは「しっかり早い段階から貯金をつくっているから」と明かす。

 ちょうど1カ月前、チームは那覇で中日と戦っていた。南の島は気温35度を超え、外に出るだけで汗が噴き出すような酷暑に見舞われていた。そんな中、練習開始の2時間前に関本と球場入りし、外野を黙々と走っていたのが鳥谷だった。

 あまりの早さに現地の職員が一般人と勘違いしたほど。加えて午前中にはジムでウエートトレも行っていた。勝負の夏場に備え、地道に養ってきた強じんな体力、そして精神力‐。西岡、福留ら新戦力を欠く中、ギリギリのところでチームを踏みとどまらせているのがキャプテンのバットだ。

 巨人にマジックが点灯した今、「巨人どうこうはない。明日の試合を勝てるようにやっていくだけ」と厳しい表情を崩さない鳥谷。絶望的な状況には変わりない。ただ鬼門で、苦しんでもぎとった1勝。猛追の原動力にしなければいけない。

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