岩田95日ぶり2勝目!虎の自力V残った
「広島1‐7阪神」(7日、マツダ)
首の皮一枚には違いない。それでも、土俵際での粘りがシーズン終盤に大きくかかわってくる。阪神先発の岩田稔投手(29)が6回4安打1失点で、5月4日のヤクルト戦以来、95日ぶりの白星。今季2勝目を挙げた。苦手広島からは、実に1813日ぶりの勝利だ。巨人が勝ち、敗れれば自力Vが消滅する危機の中、打線も先発全員安打と奮起した。
頼れる左腕が帰ってきた。岩田が6回4安打1失点、85球の熱投で待望の今季2勝目を手にした。白星は5月4日のヤクルト戦(甲子園)以来、約3カ月ぶり。ナイターとはいえ、蒸し暑さが残る広島で、完全復活を果たした。
「やっぱり勝つとうれしいですね」
試合後のヒーローインタビュー。復活を喜ぶファンの大歓声を受けて、勝利の味をかみしめた。少しだけ安堵(あんど)したが、すぐに表情を引き締めた。
「(勝ちは)3カ月ぶりですか。チームにすごい迷惑をかけているので、これから取り返していきたいです。これからも攻めて攻めて、攻める投球をするだけなので」
課題の立ち上がりは苦しんだ。制球が定まらず先頭のルイスを四球で歩かせた。菊池には犠打で送られ、いきなり得点圏に走者を背負った。
「やられる時はいつも先制される。立ち上がりが悪い状態なので」
一呼吸ついて前夜のヒーロー丸を二飛に打ち取った。4番のキラは無理せず勝負を避けたが、広瀬はきっちり右飛。スコアボードにゼロを刻んだ。二回以降は再三、走者を出したが、3つの併殺打でピンチをしのいだ。
大学時代の恩師もホッとしているはずだ。今年1月初旬、関大元監督の高岡淳氏に年始のあいさつをするため、母校の関大を訪れた。
「プールのトレーニングも取り入れて、順調にきています」と話し、シーズンでの活躍を誓ったが、開幕後は思わぬ不調に陥った。定期的に連絡を取り合ってきた高岡氏は少しの間、静観を決めた。「心配でした。話すといろいろ言ってしまうので。落ち着いたら話そうと」。この夜の勝利でようやく喜びを分かち合えそうだ。
「安心して見ていられるという感じではなかったけど、1つ勝つことで変わってもらわないと困る。先発5番手、6番手じゃなくて、もっと上のところでローテでしっかり投げてもらわないといけないピッチャー」
和田監督は期待するからこそ、厳しい言葉を並べた。それでも6連戦が続く8月に岩田の復活は大きい。前半戦の悔しさは必ず晴らす。戻ってきた背番号21の逆襲が始まった。