メッセ悲劇…8回まで2安打0封も九回に

 「広島1-0阪神」(6日、マツダ)

 勝負が決する瞬間を見届ける前に、ベンチへと歩いた。勝利に値するピッチングを見せながら、投球内容にふさわしくない黒星を背負って。132球の熱投は、歓喜ではなく残酷な結末を描いて幕を閉じた。阪神・メッセンジャーは、自分自身のミスを悔やんだ。

 「負けて満足することはない。もし(今年の)ベストなら、今日は勝っていたと思う。ピッチングの内容は良かったですけど」

 九回だった。先頭のルイスに遊撃内野安打で出塁されると、続く菊池の場面での一塁へのけん制が悪送球となり二進を許し、その後犠打で1死三塁に。迎えた丸に対して、追い込んでの7球目の高め直球をはじき返された打球は、中堅への深い飛球となってサヨナラの犠飛に。一塁ベンチとは対照的に、沈みかえる三塁ベンチに消えた。

 「(けん制悪送球は)ご覧の通り。何も言うことはないです」とメッセンジャー。自身のミスも絡んで負けた以上は、自分でベストだったとは言わない。ただ、そこまでは見事な投球で広島打線を抑え込んでいた。

 最速154キロの直球に、変化球を巧みに織り交ぜた。今季2度目の2桁10奪三振、リーグトップとなる今季通算114奪三振を記録して八回までゼロ行進。中西投手コーチも「今年一番のでき。ボールに力と角度があった。あの1プレー(悪送球)だけ」と称えた。打線の援護さえあればという展開だったが、そこに右腕が何も言わなかったのには理由がある。

 この日、7月度の月間MVPが発表されて初受賞を果たした。初の栄誉を受け、改めて仲間への感謝の思いがつのった。

 「野手が守ってくれて攻撃が点を取ってくれるので。1、2点失うことがあっても、チームメートが取り返してくれた」

 7月は先発として4戦4勝。チームメートの、攻守にわたる援護があってこそのものだったと感じている。8月は黒星スタートとなったが、寄せられる信頼は揺るがない。敗れても、大きな存在感は変わらない。

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