能見あぁ3悲弾…血染めの力投実らず

 「巨人4‐3阪神」(3日、東京ド)

 背中の「14」が小さく揺れる。鮮血の痕を残した白いズボンのまま、帰りのバスへと歩く。言い訳はしない。7回4失点での敗戦。淡々と口を開いていても、阪神・能見のこの試合にかけた強い思いは、はっきりと赤く刻まれていた。

 「(流血は)ツメじゃない。力みすぎて、親指でえぐってしまった。(影響は)ないです。(安打を)打たれるのは仕方ないとして、無駄なフォアボールは出さないようにと思ってました」

 序盤の段階で、力が入りすぎた影響から親指のツメが薬指付近に入ったもよう。試合後もテーピングなどは巻いていなかったが、思わぬアクシデントにも見舞われた一戦。立ち上がりも思うようにはいかなかった。二回、先頭の村田に低めの直球を右翼席に運ばれ、続くロペスには高めに浮いたチェンジアップを左翼席へと打ち抜かれた。

 「左肩の開きが早くなっていたので、開かないようにと思っていた。インコースがボールになっていたので」と能見。投げながら修正を図ると、三回から五回は一人の走者も許さないパーフェクトピッチングを展開。立ち直っていただけに、悔やまれたのは六回の失点と七回に先頭の中井に浴びたソロ弾だった。

 「(3被弾は)あとの2発はね…村田のは仕方ないですけど」

 村田の一発は低めのゾーンに投じた中での被弾だったが、ロペスと中井には、低めに制球しきれなかった変化球をはじき返されてのものだった。1試合3被本塁打は、プロ9年目で自身203試合目の登板で初のこと。さらに今季14被本塁打は両リーグワーストの数字となってしまった。

 「(負けられないという)意識はありましたけど、自分のできることを精一杯やろうと思ってました」

 血染めの力投。思うようにいかない中でも、できる限りのことは尽くした。もちろん、それで満足する男でもない。目指したのはあくまでチームの勝利。血痕と共に悔しさも刻み、次のマウンドへと向かう。

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