加藤251試合目でうれしいプロ初S

 「阪神7‐4広島」(28日、甲子園)

 最後の打者・梵のバットが、高めの直球に空を切る。その瞬間、阪神・加藤はマウンド上で両こぶしを握りガッツポーズをつくった。プロ13年目。登板251試合目で手にしたプロ初セーブ。試合の最後を締め「本当に気持ちよかったです」と、満面の笑みで喜びを表現した。

 3点を追う八回に、打線が打者10人の猛攻で一挙6点を奪い大逆転に成功。そして3点差の九回、セーブの付く場面で加藤がマウンドに上がる。今季の救援陣を支える左腕に、野球の神様が与えたチャンスかもしれない。ただ左腕は、その状況を把握していなかった。

 「僕が勘違いしていて、まだ(イニングが)あると思っていた」。終盤に状況が大きく変わった試合。その中で、加藤は最終回と思わずにマウンドに立っていたという。

 そして2死後‐。「『あと1人コール』が聞こえてきて気付いた。そこから、急に緊張してきた」。これには苦笑いだが、最後は見事にチームの大逆転勝利を決めた。

 守護神・久保が離脱し、救援陣もフル回転が求められるが「久保が帰ってくるまで、こういう状況が続く。みんなで頑張りたい」と加藤は話す。

 今季30試合に登板し、防御率0・99。2度の戦力外を乗り越え、今やチームに欠かせない存在となった。そして、大事そうに握られたウイニングボール。「初セーブなので」。手にした“勲章”に目をやり、また柔らかな笑みを浮かべた。

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