遠藤、初のホープ対決制し懸賞22本

 「大相撲初場所・初日」(11日、両国国技館)

 ホープ対決を制して、最高のスタートを切った。三役昇進を目指す遠藤(24)=追手風=が、関脇逸ノ城(21)=湊=を寄り切りで破り白星発進。立ち合いの低い当たりから、休まず攻めて202キロの巨体を一気に土俵外に運ぶ会心の内容だった。横綱・大関以外の取組では異例の懸賞22本が懸かり、満員札止めとなった両国国技館が大きく沸いた。

 無我夢中で前に出た。立ち合いで鋭く低く逸ノ城の胸を目がけてぶつかった遠藤は、突っ張りで相手の体を起こすと右を深く差して食いついた。ここが勝負どころ。すかさず左を巻き替えてモロ差しの体勢をつくると、休まずにグイグイと前進。202キロの巨体がズルズルと後退して俵に詰まると、左足が蛇の目の砂を掃いた。

 行司の木村恵之助が両者に勝負がついたことを知らせても、気付かずに相撲を取り続けたほど集中力が高まっていた。ライバルとの初対決に、文句なしの取り口で快勝。勝ち名乗りを受けると、満員のファンから大きな声援が沸き起こった。

 56キロの体重差を克服して、ひたすら攻め続けてつかんだ白星だ。「自分の方が体が小さいので中途半端にならないようにいった。しっかり当たれて良かったです」と、冷静に言葉を選びながらも、数々の記録を打ち立てた怪物を下して満足感を漂わせる。土俵下の審判として勝負を見守った師匠の追手風親方(元幕内大翔山)も、「今年の目標は三役と言っているからね」と飛躍を誓う弟子の姿に目を細めた。

 初日に実現した注目の一番を目当てに午前8時30分には当日券が早々と完売。本来の21本に加えて、館内のファン投票によって決まる森永賞にも選ばれ、合計22本の懸賞(1本6万2000円で計136万4000円)がかけられるフィーバーぶり。まさに客の呼べるホープ同士の好取組の効果は絶大。「満員札止めは幸先いいスタートだね」と北の湖理事長(元横綱)もホクホク顔だ。

 前頭筆頭の昨年3月は6勝9敗、そして再び前頭筆頭に戻った9月は3勝12敗と上位の壁にはね返された。3回目の挑戦となる今回はもう負けられない。「新年最初なので白星で飾れて良かった」。2015年、遠藤の新しい進撃が始まろうとしている。

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