雅山、号泣初星「こらえられなかった」

 「大相撲初場所9日目」(21日、両国国技館)

 初日から8連敗していた幕尻の元大関雅山が玉鷲を引き落とした。新年初白星に、花道を引き揚げる際に感極まって号泣した。両横綱は日馬富士が関脇豪栄道をはたき込んで9戦全勝とし、白鵬は大関復帰を目指す関脇把瑠都を一気の寄りで退け、1敗を守って勝ち越した。1敗で白鵬と平幕宝富士が続き、2敗には大関稀勢の里ら4人が続いている。

 涙が止まらなかった。雅山は土俵を降りて、花道に立つと感極まった。「家族やたくさんの方に心配をかけた。申し訳なかったし、勝った時の拍手が温かくてこらえられなかった」と振り返った。

 9日目での初勝利。玉鷲の突き押しに後退も突き返し体を開いて引き落とした。「はたかず出たいが…」。納得はしていないが、誇らしげに顔を上げた。

 侑加夫人(28)、雅巧くん(3)、雅高くん(1)。家族全員が国技館で応援した。「妻は相撲のことを一切言わない。毎日手料理をつくってくれる」と感謝した。「相撲で号泣したのは2度目です」と明かした。

 1度目は所要12場所で昇進した大関から陥落、左足首の手術で2場所休場して迎えた02年春場所初日、玉春日に勝った時だ。国技館から家路につく際、侑加夫人から「おめでとう」と声をかけられ、2人の息子になつかれた。「涙もろくもなるでしょう」と感慨深げだった。

 幕尻で負け越し、来場所の十両陥落が濃厚だ。十両に陥落した元大関の現役続行は、77年夏場所の大受(初日から3連敗して引退)と、野球賭博問題による休場で陥落した10年秋場所の雅山しかいない。それでも師匠の藤島親方(元大関武双山)は「ボロボロになって辞めるのも美学。本人に任せる」と話した。

 雅山は「気持ちは切らしていない」と現役を続ける意向。限界が近くとも、息子が自分の相撲を理解するまで心は折れない。

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