突然夜中に泣き叫ぶ2歳息子 抱っこしても反応が薄い 目を開けたまま泣く もしかして夜驚症かも【小児科医が解説】
Aさん(30代女性)の息子は、2歳頃から夜中に突然泣き叫ぶようになりました。抱っこしても反応が薄く、目を開けたまま激しく泣く日もあり、「夜泣きがひどい子なんだ」と思いながら、毎晩対応していたのです。
そんなつらい状況が半年以上続いたある日、インターネットで息子の症状について調べていると、夜驚症(やきょうしょう)の可能性があることが分かりました。これを知ったAさんは息子の夜泣きが別の危険な病気などの兆候ではないことが知れて安心するのと同時に、「夜驚症の存在をもっと早く知りたかった」と不満を抱きます。
では夜驚症とは、どのような症状なのでしょうか。小児科医の竹内雄毅さんに聞きました。
■夜驚症は、睡眠障害の一種
-夜驚症とはどのような症状なのでしょうか。一般的な夜泣きとの違いも教えてください。
夜驚症は、睡眠中に突然大声で泣いたり叫んだり、興奮した様子を見せたりする睡眠障害の一種です。子どもが完全には目覚めておらず、寝ついてから1~3時間以内の深い眠りの時間帯に起こりやすいのが特徴です。
目を開けているため起きているように見えますが、呼びかけても反応が乏しく、翌朝になると本人は覚えていないことがほとんどです。
一方、夜泣きは抱っこや授乳などで落ち着くことが多いですが、夜驚症ではなかなか反応が得られず、保護者が強い不安を感じやすい傾向があります。
-夜驚症はなぜ起こるのでしょうか。また、起こりやすい年齢はありますか。
夜驚症は、深い眠り(ノンレム睡眠)の最中に、脳が部分的に覚醒してしまうことで起こると考えられています。睡眠不足や疲労、発熱、生活リズムの乱れ、ストレスなどがきっかけになることがあります。
3~8歳頃に最も多くみられますが、Aさんのお子さんのように1~2歳頃からみられるケースもあります。 脳の発達過程で起こる現象の一つと考えられており、多くは成長とともに自然に改善します。保護者の育て方が原因で起こるものではありません。
-子どもが夜驚症のような状態になった場合、どのように対応するのが望ましいのでしょうか。
無理に起こそうとしないことが大切です。何度も呼びかけたり揺さぶったりすると、かえって混乱や興奮が強くなることがあります。
保護者は落ち着いて見守りながら、周囲の安全を確保してください。また、十分な睡眠時間を確保し、規則正しい生活リズムを整えることも予防につながります。
-受診を検討した方がよいケースや注意が必要な症状を教えてください。
夜驚症は自然に改善することも多いため、症状だけで過度に心配する必要はありません。ただし、発作が連日続く場合や、1回の時間が長い場合、暴れてケガの危険がある場合、保護者が睡眠不足で疲弊している場合は、小児科へ相談するとよいでしょう。
また、けいれんを伴う、呼吸が止まるように見える、日中にも意識障害のような症状がある場合は、てんかんや睡眠時無呼吸症候群など別の病気の可能性もあります。
夜中に突然泣き叫ぶわが子を前にすると、不安になる保護者も少なくありません。しかし、夜驚症は決して珍しい症状ではなく、多くは成長とともに落ち着いていきます。ひとりで抱え込まず、不安が続く場合は小児科に相談してみてはいかがでしょうか。
◆竹内雄毅(たけうち・ゆうき) たけうちファミリークリニック院長
医学博士・小児外科専門医。京都府立医科大学小児外科客員講師。小児科・小児外科診療に従事する傍ら、病児保育や発達支援、地域イベントの企画・運営など、子どもと家族を支える地域づくりに取り組んでいる。一般社団法人tPot代表理事として、医療・子育て・学び・仕事・文化がゆるやかにつながるコミュニティづくりを推進。地域の多職種や住民と連携しながら、子どもたちが健やかに育つ環境づくりに力を注いでいる。
(まいどなニュース特約・長澤 芳子)
