「仕事の相棒がレースマシンに」 いす-1GP8回優勝の王者が語る過酷すぎるレース 恐怖心に打ち勝ち忍耐力が試される
キャスター付き事務椅子を使ったレースが全国で開催され、盛り上がりを見せている。
2月8日に熊本市南関町で開催された「いすー1GP熊本南関大会」では、27チーム約80人が参加した。普段、オフィスで座っている、キャスター付きで回転できる椅子が、時速20キロを超えるスピードで公道を駆け抜ける、2時間耐久レース「いすー1GP(いすわんグランプリ)」は京都府京田辺市発祥で、3人のドライバーが交代で走り、2時間の間にコースを何周できるかを競う。楽しそうに思えるが、実は想像を絶する過酷さだという。
これまで8回の優勝を誇るトップレーサー、三浦康紀さんに話を聞いた。
--見た目以上にハードな競技だそうですね。
三浦: 開始わずか3分で「もう帰りたい!」と悲鳴が上がるほどでした(笑)。まず後ろ向きで走るという恐怖心。前が見えない状態でスピードを出すのは、慣れるまでかなり怖いです。3人1組で2時間を走り切るので、スピードだけでなく持久力やチーム全員の忍耐力が試されます。「遊びでしょ?」と言われることもありますが、実際はかなり本気のスポーツなんですよ。
--勝つための秘訣、強さのポイントは?
三浦:「椅子の理解力」と「太もも」ですね。事務椅子といっても一台ごとにクセが違うので、その動きをコントロールする技術が必要。また、地面を蹴って進むので徹底的に太ももの筋力を鍛えることが重要です。お尻を座面の中心に置き、足をまっすぐ後ろに押す正しいフォームを意識するだけでも、スピードは大きく変わります。
--三浦さんは社会保険労務士とレーサー、二つの顔をお持ちとか。
三浦: 週6日はレーサーの活動をしています(笑)。仕事の傍ら、練習やレースの動画をSNSで発信していますが、普段は仕事道具である椅子がレースマシンになる。この不思議な体験が「いすー1GP」の最大の魅力だと感じています。
--これまでの優勝で一番印象に残っていることは?
三浦さん: 実はレースそのものよりも「優勝後の表彰式」が一番ハードかもしれません。多くの大会では、優勝賞品としてお米90kgが贈られます。3人で分けるので1人30kgですが、2時間の激闘を終えて体がボロボロの状態で30kgの米袋を担ぎ上げるのは、全身の筋肉がつりそうになるんですよ!
◇ ◇
三浦さんのInstagramの投稿には「くらだないと思って見てたけど、最後泣きそうになった」「やってみたくなった!」「コーナリングがすごい」などのコメントが集まった。動画のゴールシーンでは、チーム3人が抱き合って優勝を分かち合う姿が。事務椅子という日用品が、男たちを繋ぐアツいレースに。これからの挑戦も注目したい。
(まいどなニュース特約・米田 ゆきほ)





