出産費用「無償化」帝王切開は対象外? 正常分娩のみ検討、個室や産後サービスは自己負担の可能性…改悪との指摘も【FP解説】

出産費用の無償化が検討されているというニュースを受け、「負担が減るのでは」と期待する声も出ています。第1子の出産で思った以上に費用がかかり「2人目が欲しいけど負担が大きい」と躊躇していたBさんも、その1人です。

Bさんは第1子を帝王切開で出産しました。帝王切開が医療行為を伴う出産であるため、健康保険の対象となり医療費は3割となるものの、その際に入院費や追加費用を含め総額60万円近くかかりました。出産育児一時金も50万円が支給されましたが、約10万円の持ち出しが発生し、Bさんは「出産ってこんなにお金がかかるんだ」と実感したといいます。

そんなBさんが2人目を考え始めた頃に目にしたのが「出産費用の無償化が検討されている」というニュースでした。ではもしも無償化が実現した場合、Bさんが第2子も帝王切開で出産するケースでは、自己負担なく出産ができるのでしょうか。ファイナンシャルプランナーの橋本ひとみさんに話を聞きました。

■無償化は「普通分娩」が対象と検討 帝王切開は保険適用の可能性

ーBさんが2人目も帝王切開で出産することになった場合、無償化になれば負担はなくなりますか?

無償化の対象は正常分娩に限られる見込みです。帝王切開や吸引分娩など医療行為を伴う出産では、引き続き健康保険が適用される方向で検討が進んでいます。そのため、Bさんが2人目を帝王切開で出産することになった場合、第1子の時と同様に3割の自己負担が生じてしまう可能性があります。

もっとも、制度設計は2026年2月時点で検討段階にあり、具体的な負担のあり方や開始時期は確定していません。今後の議論次第では、負担軽減の仕組みが追加される可能性もあります。

ーでは普通分娩の場合は完全に無償になるのでしょうか?

実際にはそうとは限りません。というのも、医療機関によっては個室利用やお祝い膳、産後エステなど付加的なサービスを出産費用に含めて提供している場合があります。こうしたサービスは医療として必須ではないため、無償化の対象外となる方向での制度設計が検討中です。

また、これまでと同様に個室利用や産後サービスなどの付加的なサービスを受けようとすると、医療機関によっては結果的に自己負担が増えたと感じる人が出る可能性があります。

ーそもそも出産費用の無償化によってどんなメリットが期待されているのでしょうか?

検討されているのは、出産時の分娩費用を全国一律にし、自己負担をゼロにする、いわゆる無償化です。

実は出産費用は地域差が大きく、厚生労働省によると正常分娩の平均費用は東京都と熊本県で20万円以上の差があります。そのため、高額な地域で出産をすると一時金では足りず、逆に安価な地域では手元に残る金額が出るなど、公平性の観点で問題になっていました。

出産費用が無償化されることで、地域による不公平感がなくなることが期待されます。

ーでは出産費用の無償化によってデメリットは発生するのでしょうか?

一部の人からは「改悪」になるのではという声があがっています。その理由が、現在の制度では出産育児一時金が一律で支給されていることにあります。これによって、帝王切開であっても一時金の範囲内に収まるケースや、一時金との差額が手元に残るケースもありました。

しかし、検討されている無償化では正常分娩の費用を公的にカバーするものです。この場合、出産一時金というかたちでの給付の仕組み自体がなくなることが考えられます。また先に述べたように、出産時に医療行為が伴った場合は無償化の対象外となる可能性が高いことも「改悪」といわれている理由の1つです。

いずれにしても、出産費用無償化の詳しい制度設計はまだ議論の途中です。引き続き最新情報を確認していきましょう。

◆橋本ひとみ(はしもと・ひとみ) ファイナンシャルプランナー

銀行勤務12年を経て、現在は複数企業の経理代行をおこなう 。法人営業や富裕層向け資産運用コンサルティングの経験に加え、ファイナンシャル・プランナー、宅地建物取引士の資格を持つ。

(まいどなニュース特約・八幡 康二)

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