「ありがとう、おじさん」飼い主の乗った車の前で、犬と人の“優しい時間”にほっこり

「ありがとう、おじさん」

そんな言葉とともに投稿された動画が、Instagramで多くの共感を集めている。

映っているのは、ボーダーコリーのすぅ(う)ちゃん(2歳・メス)と、たまたま近くにいた植木剪定職人の男性。止まっている車のそばにやってきた男性が、すぅちゃんを優しくなで、声をかける様子が収められている。

コメント欄には「殺伐とした世の中にほっこり」「平和な世界」「絶対いい人だよね」といった声が並んだ。

■「怖い人だったらどうしよう」最初は警戒も

撮影したのは飼い主さん。妻の車でコンビニへ行き、帰宅後、車内でメッセージのやりとりをしていたときのことだ。

「男性が近づいてきたとき、一瞬“怖いことされたらどうしよう?”と思い、動画を回しました」

普段から愛犬との日常を記録する習慣があり、反射的にカメラを向けたという。

しかし、すぐに空気が変わった。男性の近づき方、すぅちゃんの態度、ふたりの間に流れる雰囲気から「悪い人ではない」と感じたという。

「我が子や愛犬が可愛がられている姿を見るのは、本当にうれしい。すぅが心を開いて愛情を返している姿を見て、感動しました」

男性が醸し出す安心感も相まって、ほっこりとした時間が流れた。

■犬は“人を選ぶ”

すぅちゃんはどんな性格なのか。

「おてんばです。でも犬って本当に瞬時に人を選別します」

飼い主さんは自宅兼店舗で美容室を営んでいる。駐車場に来たお客さんに吠えることがあるが、話を聞くと「犬が苦手」「怖い経験がある」という人が多いという。

「何かしらの所作を感じ取って“警戒”しているんだと思います」

つまり、今回の男性は“安心できる人”だったということ。好意を持って近づく人には、すぅちゃんも自然に寄り添う。

■先代犬との別れが教えてくれたこと

今回の出来事に、飼い主さんがより強く心を動かされた背景には、先代犬との別れの経験があります。

プロフィールにある「一代目(うみ)とさよならした経験があるから、日々の大切さを知っている」という言葉。その裏には、突然の出来事がありました。先代犬のうみちゃんは、想定もしていなかったがんを発症し、旅立ちました。

「当たり前が、当たり前でなくなったとき、初めてその偉大さと必要性に気づきました」

言葉を話せなくても、気持ちを察し、寄り添い、そばにいてくれる存在。その時間には限りがあることを知ったといいます。

だからこそ、すぅちゃんが誰かと心を通わせる一瞬も、何気ない日常の出来事も、かけがえのないものに感じられる。

今回の“おじさんとの時間”も、ただの微笑ましい出来事ではなく、「今ここにある幸せ」を改めて実感させてくれる瞬間だったのです。

■「ありがとう、おじさん」に込めた思い

タイトルに込めた思いはシンプルだ。

「すぅに良くしてくれたこと、そしてその姿を見て私がほっこりできたことへの感謝です」

男性が去るタイミングで車外に出て、きちんとあいさつとお礼も伝えた。

■“信じにくい時代”だからこそ

投稿には多くの温かな声が寄せられた一方で、時代背景を指摘する意見もあったという。

「良い人ばかりでもなく、目の前の人を心から信じにくい時代だと感じます」

それでも、コメント欄を見て感じたのは、「肩の力を抜いてほっこりしたい人が多いのかな」ということ。

「一瞬でもホッコリしてもらえたなら、それでうれしいです」

強さや警戒心が求められる時代だからこそ、偶然生まれた優しい時間が、より尊く見えるのかもしれない。

止まった車の中から見えた、ほんの数分の出来事。けれどそこには、人と犬がつくる“平和な世界”が確かにあった。

(まいどなニュース特約・渡辺 晴子)

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