忍び寄る戦争の足音、中学校閉鎖の危機ーー 『ばけばけ』が描いた明治25年の熊本
連続テレビ小説『ばけばけ』(NHK総合ほか)、今週は第21週「カク、ノ、ヒト。」が放送された。熊本に引っ越してから書く題材が見つからず、スランプに陥っているヘブン(トミー・バストウ)。そんな彼の窮地脱却に一役買いたいと、トキ(髙石あかり)、フミ(池脇千鶴)、ヘブン邸に下宿している書生の正木(日高由起刀)、丈(杉田雷麟)がこぞって「ネタ探し」に奔走する。
前週の第20週から今週の第21週にかけて、英語教師としてヘブンが勤務する熊本第五中学校の近隣に設置された第6師団の歩行訓練のシーンがたびたび挟まれている。時は明治25(1892)年。西洋化に邁進する日本は、それに伴って軍事化の一途をたどり、2年後の明治27(1894)年には日清戦争が始まる。国の軍事費拡大のために文部省が予算の締め付けに遭い、熊本第五中学校が閉鎖するのではないかという噂が流れて、ヘブンとその家族、そして書生たちが肝を冷やすというシーンもあった。
ヘブンと一家が移り住んだ当時の熊本を、『ばけばけ』はどう描いたのか。制作統括の橋爪國臣さんに聞いた。
■明治25年の熊本は国内で最先端の都市だった
「明治10(1877)年に西南戦争が起こってから15年後の熊本は、昔からあった建物がすべてなくなり、焼け野原になって、中心地には建て替えられた新しい建物がずらりと並んでいました。熊本城も焼け落ちていますし、なかなかシンボルになるような建物や『熊本らしさ』を感じられる場所がない時期でした。そのことについて、モデルであるラフカディオ・ハーンは失望したと著書に記しています。なので、この頃の熊本を映像でわかりやすく表現するのは難しく、かなり頭を悩ませました」
「そんな中で、当時の熊本を表現する手段が『軍隊』でした。当時の熊本は日本屈指の軍事都市と言われていて、熊本城の焼け跡地が全て軍の敷地になっていました。古き良き日本の風景がたくさん残っていた松江を後にして、ヘブンとトキたちが移り住んだ熊本は、西南戦争から復興を遂げた、いわば『最先端の都市』。そうした社会情勢と時代の空気が感じられるように、第6師団のシーンがたびたび挿入されています」
■国民がまだ戦争というものを楽観視していた時代
とはいえ、「作家レフカダ・ヘブンと戦争」というところまで描く意図はないのだと、橋爪さんは言う。
「朝ドラでよく見る第二次世界大戦の頃の空気感とは違って、この頃の日本はまだ『国全体が軍国主義に走る』というような時代ではないんです。おそらく庶民の考えの方の中に戦争というものがまだ実感を伴っていない時代で、当然、負けるとも思っていない。『小泉八雲と戦争』というテーマの論文や研究は数多く残っていますが、モデルのラフカディオ・ハーンも当時、戦争に反対していたわけでなく、日清戦争で日本が勝利を遂げた際には喜んでいたという史実が残っています。国も国民も、まだまだ戦争というものを楽観視していた時期でした」
「主人公はあくまでもトキ。『トキとヘブンの関係性』、そして『当時の社会の中にあるふたりの絆』が主題なので、『ヘブンと戦争』というところまでは、今回は踏み込んでいません」
◇
次週、第22週「アタラシ、ノ、ジンセイ。」では、トキと、引き続きスランプ継続中のヘブンに大きな出来事が起こる。
(まいどなニュース特約・佐野 華英)
関連ニュース
-
「キモチップ騒動」から7年…ネット史に残る大炎上に見舞われた男性が当時を振り返る 「世の中の全てが敵」状態の時に何を考えていたのか

-
ローソンで「からあげクン」を買ったら… 50周年の“シークレット刻印”に「激レア」「初めて見た」7.1万いいねの大反響!

-
引っ越し「予想外なお金の出費」1位は……?「予想以上に多かった」「処分にも費用がかかる」「自治体によって違う」【500人アンケート】

-
離婚調停中、急死したモラハラ夫……隠していた多額の預金や不動産が発覚!「家を捨てた女に一銭もやるものか」夫親族の嫌がらせに対抗できますか?【弁護士が解説】

-
【漫画】物件の希望が夫婦で正反対…「駅から遠いけど広い」「狭小だけど駅チカ」→不動産スペシャリストのひと言で解決!そのアドバイスとは…?

