“少し足が悪い猫”のはずだったが……「嘘」から始まった出会い→歩けるようになるまで「猫に罪はない」

「京都の方から“猫を預かってほしい”と電話がありました。お世話のお金は払う、ちょっと足が悪いだけだと聞いていたんです」

そう話すのは、大分県別府市で老舗温泉宿「新玉旅館」をの女将さん。その経緯は、旅館で暮らす猫さんたちの様子を発信している「にゃんたまチャンネル」(@nyantamach222)で公表された。

半年ほど前、京都から来たという1匹の高齢猫「リーちゃん」。当初は「少し足が悪い」とだけ聞かされていたが、実際に対面してみると、その姿は想像とはまったく違っていた。

■「歩けない」「腎臓も悪い」…あまりにも違った現実

実際にリーちゃんを見た瞬間、「状況の違いに驚いた」と語る。

「半身不随で、歩くこともできない状態でした。検査すると腎臓も悪く、ガリガリ。骨と皮だけ、という感じでした」

事前に聞いていた説明とはまるで違い、明らかに“まともなケアを受けてきた猫の状態”ではなかったという。

「病院にちゃんと連れて行っていれば、こんな状態になるはずがない。嘘をついていたんだと思います」

■「元に戻せば死なせる」…引き取る決断

京都の元の飼い主に戻せば、十分な世話もされず、そのまま命を落とす未来が見えた。

「だったら、もう最後までうちで面倒を見るしかないと思いました。猫に罪はありませんから」

こうしてリーちゃんは、新玉旅館で暮らすことになった。

■リハビリと治療で「歩けるように」

当初は寝たきりに近い状態だったリーちゃん。しかし、治療とリハビリを続けた結果、少しずつ変化が現れた。

「痛みを和らげる注射や、マッサージ、リハビリを続けていたら、ヨタヨタですけど歩けるようになったんです。15歳で“また歩けるようになる”なんて、正直思っていませんでした」

現在リーちゃんは15歳7か月。食事も1回に大量ではなく、1~2ミリずつを何度も分けて与えるなど、細やかなケアを続けている。

■「リーちゃん頑張れ」旅館スタッフとボランティアの声援

リーちゃんの暮らしを支えているのは、旅館のスタッフやボランティアたちだ。

「ご飯の時は、みんなで『リーちゃん頑張れ!』って声をかけます。手を叩いて応援したり、歌ったり。そうすると不思議と食べるんですよ」

人に捨てられた猫ではなく、“みんなに応援される猫”として生き直している。

「いらない猫なんていません。ここでは、リーちゃんは“頑張れって言われる存在”なんです」

■「前の人はもう関係ない。リーはリー」

女将さんは、こうも語る。

「前の飼い主がどうだったかは、もう関係ない。リーちゃんは“ここに来た新しい命”なんです」

嘘をついて手放した人を責めるよりも、「今この子が幸せかどうか」が大切だという。

「人間には腹が立っても、猫には腹は立たない。猫は悪くないから」

■最後まで「幸せだった」と思える場所で

京都にいたままだったら、「間違いなく死んでいた」とにゃんたまチャンネルさんは断言する。

「今までの過酷な状況を忘れるくらい、最後まで幸せに暮らしてほしい。虹の橋を渡るその日まで、ここで」

これまでの医療費や生活費は、元の飼い主から一切受け取っていない。

「でもいいんです。この子が今歩いて、ご飯を食べて、声をかけられて生きてる。それだけで」

嘘から始まった出会いだったが、リーちゃんは今、たくさんの人に愛されながら、“本当の猫生”を生き直している。

(まいどなニュース特約・渡辺 晴子)

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