地域猫が行方不明や連続死 ボランティアが感じた“事故や病気では説明できない違和感”とは?
沖縄県名護市東江で、短期間のうちに複数の地域猫に異変や死亡が相次ぎ、地域に不安が広がっている。
現場の状況をSNSで発信したのは、日頃から地域猫の世話を続けている個人ボランティアの寧波さん(@anmaa.k)。「事故なのか、病気なのか、それとも人為的なものなのか…。今はまだ何も断定できません」としながらも、取材に対し「人為的な可能性が高いと感じている」と語った。
■最初の異変は「姿を消した銀ちゃん」から始まった
今回の異変の最初の兆候は、2026年1月5日。地域猫の「銀ちゃん」が、突然姿を見せなくなったことだった。
「前日まで毎日元気にご飯を食べて、日向ぼっこもしていました。具合が悪そうな様子は一切なかったので、すごく心配になりました」
そして7日、別の地域猫「みちょ」が前脚を地面につけず、びっこを引いている姿を確認。不安を抱えながら8日に探し回っていたところ、思いもよらない光景を目にすることになる。
■遊歩道のすぐそばで、血まみれのアゴたんが…
8日、遊歩道から見える位置で、地域猫の「アゴたん」が下半身を血で汚した状態で亡くなっているのを発見。さらに翌9日には、別の地域猫「茶々丸」も死亡していたことが、ご近所からの連絡で判明した。
「短期間で3匹。しかも、みんな普段元気だった子たちです。あまりにもおかしいと思いました」
茶々丸は、1年半前に起きた“惨殺体事件”の現場にいた地域猫でもあった。
■「また、あの犯人が動き出したのかと…」
短期間で相次いだ異変に、寧波さんが真っ先に思い出したのは、過去の事件だった。
「1年半前に起きた事件を思い出しました。あの犯人が、また動き出したのかと…」
当時も、前日まで元気だった地域猫が突然命を落とし、不自然な状態で発見されていたという。
■「事故や病気ではなく、人為的だと感じています」
今回の件について、寧波さんははっきりとこう語る。
「事故や病気ではなく、人為的だと感じています」
その理由の一つが、犠牲になった猫たちの“性格”だ。
アゴたんは、地域でもっとも警戒心が強い猫。年に2回ほどしか人の手からちゅーるを食べないほど慎重で、基本的に単独行動の子だった。
「人馴れしている子ではなく、なぜ一番警戒心の強い子が…と不思議でなりませんでした」
また、単独行動の猫ほど捕獲器などにかかりやすい可能性があるとも感じているという。
■警察と行政に相談も「すぐには動けない」と…
10日、110番通報を行い、名護署へも連絡。警察官が現地を訪れ、地域住民と共に状況を説明した。
「普通ではない、怖いことが起きているので、捜査とパトロール強化をお願いしました」
しかし返答は「すぐには答えられない」「帰ってから相談する」というものだった。
沖縄県動物愛護センターや名護市環境対策課にも相談しているが、現時点では決定的な対応は示されていない。
■猫たちの行動が一変「私にも近づかなくなった」
アゴたんが死んだ以降、地域猫たちの行動は明らかに変わったという。
「私にも一切近づかなくなりました。ご飯を持って行くと、どんどん遠くへ逃げてしまいます」
以前は遊歩道でくつろいでいた猫たちも、今では草むらに身を潜めるようになり、異常な警戒心を見せている。
■「沖縄では地域猫のステータスが低すぎる」
寧波さんは、今回の問題の背景に「沖縄における地域猫の認識の低さ」があると感じている。
「沖縄では、地域猫という考えがほとんど浸透していません。害獣、ノネコ、野良猫…そう呼ばれることが当たり前です」
実際、猫にご飯をあげていると「毎日あげたら死なないじゃないか」と責められたこともあるという。
名護市ではTNR(捕獲・不妊去勢・元の場所へ戻す)の数も非常に少なく、手術だけして、その後のケアがされない“さくら耳のボロボロ猫”も多い現状がある。
「手術するだけでは虐待です。最後まで命を守ってほしい」
■「怒りよりも、声をあげてほしい」
もし猫たちに手をかけた「犯人」がいるとしたら……。そのやり場のない怒りを、寧波さんはこう語った。
「同じ目にあわせたいと思うのは自然な感情です。でも私は、猫の神様にお願いしています。“犯人”に、猫の可愛さを知る機会を与えてくださいと」
そして、読者に向けて強く訴える。
「もし自分で助けられなくても、“誰か助けてください”と声をあげてほしい。その声ひとつで、救われる命があるかもしれません。どうか勇気を持って、声に出してください」
短期間で命が奪われた現実。それでも声をあげることで、守れる未来があると、寧波さんは信じている。
(まいどなニュース特約・渡辺 晴子)





