歓楽街のヒマは2月8月だけじゃない?2018年以降は1年中が閑散期【夜職歴15年現役キャストに取材】
遊びに来る人あってのお店とキャスト。歓楽街が最も恐れる事態は、お客さんが入らないことです。「閑散期」と呼ばれる時期はどこも苦戦を強いられ、以前は「2月、8月(ニッパチ)に気を付けよ」といわれていました。しかし平成後期より、これ以外の時期も客入りが渋くなったそうです。
大流行するバブルのようなお店が存在する一方、常に閑古鳥が鳴き、キャストの稼ぎに大きな差が出るところも少なくはないのが令和の歓楽街。現役キャストに話を聞いてみると、「閑散期なんてほぼ毎日じゃないですか?」なんてコメントが返ってきてしまうこともあります。
■静かな日が増えてしまった……2月8月以外も閑散期!?
「ニッパチは閑散期」というのは飲食店も同じで、この時期は客商売全般が耐え忍んでいる様子です。ただ利用料金の高い夜のお店は不況が大きく影響し、今までにはあまり考えられなかったシーズンにまで閑散期の打撃を受けています。
オトナのお店で働くリセさん(仮名)は夜職歴15年。リセさん曰く仕事を始めた頃は稼げた方で、閉店するお店も少なかったそうです(以下『』内、リセさん談)。
『2013年あたりから夜を始めていますが、この時って稼げたんですよ。入店して新人ですって売り出せば客はついたし、お茶引いて(指名ゼロのこと)0円で帰るコなんてほとんどいなかった。適当に働いていても、指名取るのは難しくなかったです。
確かにニッパチはちょっと暇だなぁって日が多かったけど、全員が客に着かず待機ってのは大雪と大雨の日くらいで……。ボーナスが入る7月、12月はわかりやすく忙しかったし、連休や土日も普通にお客さんが入っていました。日給10万円は確約できずとも、8時間待機していればみんな最低4万、5万以上は持ち帰っていたと思います』
ニッパチ以外も閑散期だと感じるようになったのは、2018年以降のこと。世間の物価高騰に加え、客入りと母数(お店の乱立&キャストの増加)が全く見合わず、持て余す女の子が増えてきました。
全体を見ても暇な人と多忙な人気者の差が凄まじく、お店もまんべんなくお客さんをつけてあげられない状態に見えたのです。
『この頃は移動型風俗のA店にいたんですけど、毎日のように新人が入店していたんですね。どんどん女の子が来るけど、お客さんの数は変わらないから少ないところを奪い合う。常連客で固めているキャスト以外は戦争で、埋もれちゃうコは数日で退店するレベルでした。在籍して5年でしたけど、この頃くらいから問い合わせの数が昔より減ってきたな、という印象です。お店の電話があまり鳴らない日も増えたな……みたいな』
彼女自身も収入の差が出始め、動きが読めないことが多くなってしまいました。コロナ禍を終えても一向に回復せず、相変わらず苦しい状態が続くせいで業界を卒業する同期さえ現れたほど!
リセさんも2つの店舗を掛け持ちして月収を下げないように努力しましたが、A店の“過疎化”が加速したため、心機一転ジャンルを変えてC店へ移籍します。
■今や「繁忙期はいつ?」の状態に
オトナのお風呂屋さん・C店に入店したのは2023年の、ようやくコロナが落ち着き始めた時。既存のお客さんをつれて移籍したため、スタート時から成績は悪くなかったものの、1日中働きっぱなしという日はほとんどありません。時期も時期でしたが、時間が経っても稼ぎが爆発する日がとにかく少なかったそうです。
『既存客がいるから安定はしていますけど、お店についている常連さんの足が遠のいていると社長が嘆いていました。今まで月4回通っていた人が2カ月に1回の利用になり……とか。ちょっと前なら新人が入っただけでみんな飛びついたのに、そういう“瞬間的な爆発”がどこでも難しくなりました。
SNS集客を頑張るか、顧客をたくさん持っていない限り毎日を予約で全部埋めるのがまず大変。飛び込みとかだけ待っていても、全然稼げませんよ』
リセさんは2023年から2025年現在の約2年間で、ニッパチ以外に「1月の年明けすぎ、3月前半の卒業シーズン前、祝日がない6月、シルバーウィークの過ぎた10月は特に客入りがキツくなる」という結論を出しました。こう見ると、ほぼ1年間閑散期のような……。
『本当に1年じゅう閑散期と思って間違いはないですよ。新人も黙って待ってるだけじゃ、1カ月もしないうちに暇になります。そのくらい営業努力をしないとお客さんを掴めないし……。来客そのものが減ってるから、チャンスに巡り合えません。店も女の子も、まじで必死こいて生きてます(笑)』
彼女は笑いながらこう語りましたが、夜職の閑散期は相当深刻な問題でしょう。もともと努力なしでは稼ぎ続けられない世界ですが、新規参入者でさえままならない状態に陥るほどでは、業界の未来が見えないからです。
世の不況や沈みが大きく影響する場になった歓楽街。“遊び”に興味を示す人々を増やすのも重要かもしれませんが、キャスト自身の稼ぎを継続する方法や、転んだ際の立ち上がり方もじっくり考えねばならない職業になったのかもしれません。
◆たかなし亜妖(たかなし・あや)
元セクシー女優のシナリオライター・フリーライター。2016年に女優デビュー後、2018年半ばに引退。ゲーム会社のシナリオ担当をしながらライターとしての修業を積み、のちに独立。現在は企画系ライターとしてあらゆるメディアで活躍中。





