「最近歩かなくなった」「食が細くなった」親の変化を見逃さない 75歳以上対象のフレイル健診で早期発見、介護予防に【社会福祉士が解説】

「母が最近、散歩に行かなくなってきた」「父の食が細くなった気がする」--。

 50代の佐藤さん(仮名)は、70代の両親の小さな変化に気づきながらも、「まだ元気だから大丈夫」と思っていました。以前は毎朝の散歩を楽しんでいた母も家にこもりがちで、父も食事を残すことが増えてきていることが少しばかり気がかり、という程度でした。

そんな折に、かかりつけの病院で「フレイル健診を受けてみては?」というアドバイスを受けました。フレイル健診とは、後期高齢者医療制度で行われる健診の一部を変更して行うもので、虚弱状態を早期に発見するきっかけになります。

フレイル健診は加齢に伴う変化を早めに知ることのできる健診です。親の健康を守り、自分自身の将来に備えるためにも、知っておきたい制度といえます。

■フレイルとは何か

フレイルとは、英語の「Frailty(虚弱・脆弱)」に由来する言葉で、健康な状態と要介護状態の中間段階を指します。加齢に伴い、筋力や心身の活力が低下した状態です。

重要なのは、フレイルは「改善の可能性がある」という点です。適切な対応を行えば、元の健康な状態に近づけることも可能です(個人差があります)。そのため、早期発見・早期介入が重要とされています。

フレイルには、以下の3つの側面があります。

・身体的フレイル:筋力低下、疲れやすさなど

・精神・心理的フレイル:認知機能の低下、気分の落ち込みなど

・社会的フレイル:閉じこもり、社会交流の減少など

これらは相互に影響し合い、悪循環を生むこともあります。

■フレイル健診の内容とは

フレイルチェックを含む総合健診は、後期高齢者医療制度の被保険者(主に75歳以上)を対象に、自治体ごとに実施されています。実施時期や受診方法は自治体によって異なりますので、お住まいの地域の情報を調べてみるのをおすすめします。

2020年4月から「フレイル健診」で使用されている質問票では、日常生活の活動状況、食習慣、口腔機能、認知機能、社会参加などに関する15の質問を通して、「フレイル」状態かどうかを判別します。結果を総合的に評価し、フレイルリスクが高い場合は保健師による個別保健指導や、地域の介護予防事業(運動、栄養、口腔ケア、社会参加)への参加などが推奨されます。

■要介護状態よりも前段階で支援を

フレイル健診は、使い方次第で介護予防につなげることができます。

例えば、フレイル健診の質問の中で「この1年間に転んだことがある」「歩く速度が遅くなった」などの項目に該当した場合は、筋力低下などの「身体的フレイル」の兆候がみられるということになります。医療機関への相談のほか、自治体の主催する介護予防教室等への参加によって、要介護の状態になる前に運動機能の向上を図るなどの対策を取ることができます。

「健診でリスクがあると判定されたら介護認定を受けなければならない」ということはありません。むしろ、介護認定が必要になる前に、自分でできる対策を知れるのがメリットです。

   ◇  ◇

フレイル健診は、「要介護になってから対処する」のではなく、「要介護にならないために予防する」という発想の転換を示す制度です。早めの対策が、健康寿命を延ばし、誰もが自分らしく暮らし続けられる社会づくりの第一歩です。

【監修】勝水健吾(かつみず・けんご)社会福祉士、産業カウンセラー、理学療法士 身体障がい者(HIV感染症)、精神障がい者(双極症2型)、セクシャルマイノリティ(ゲイ)の当事者。現在はオンラインカウンセリングサービスを提供する「勇者の部屋」代表。

(まいどなニュース/もくもくライターズ)

関連ニュース

ライフ最新ニュース

もっとみる

    主要ニュース

    ランキング

    話題の写真ランキング

    リアルタイムランキング

    注目トピックス