高級リンゴ、「味の乗らない」大量のリンゴはどうなる? 高級銘柄の"舞台裏" 消費者「事情を知ることができてありがたい」
高級リンゴの"舞台裏"がSNS上で大きな注目を集めている。
「お客様にお届けするリンゴに高い評価をいただけている裏側で、これだけの『味の乗らない』リンゴを業者さんに引き取っていただいている。今年は豊作だったこともあり、2650㎏の未熟果が出た。これら(写真のリンゴすべて)はマルカメ果樹園の名前では販売されず、『リンゴ(国産)』の表記でジュース等の加工用に回る。大手スーパーで売られている安価なリンゴジュースはこうして作られていたりする。」
と山積みの未熟果リンゴの写真とともに自社事情を紹介したのは、長野県松川町で果物栽培を手がけるマルカメ果樹園園主の北沢毅さん(@kita0244)。
これらのリンゴはキズはなく日持ちも問題ないのだが、定めた品質には至らないため加工業者に出荷される。現在、マルカメ果樹園ではブランド価値を重視したリンゴ販売を展開しているが、それが成立するのは栽培技術や環境に加えて、こういった流通経路を確保できていることが大きいようだ。
北沢さんにお話を聞いた。
ーー現在のシステムを構築されようと思った時期や経緯は?
北沢:20年ほど前、私の父の代からこうした取り組みを行っています。昔は味の乗らない未熟果をそのまま販売していたこともあったのですが、お客様からの要望もあり自社の名前では販売せず、市場や契約業者に引き取っていただく現在の形になっております。
ーー投稿に大きな反響がありました。
北沢:「国産リンゴはここまで手をかけてブランド価値を守っているのか!」という好意的な反響を多くいただいています。また、こうした取り組みがあるからこそスーパー等で安価なリンゴジュースが買えるのだ、ということについての反響も多数ありました。身近なリンゴという果物だからこそ、裏側を知っていただくことの価値をあらためて感じています。
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SNSユーザー達から
「どうしても『もったいない』という一言が最初に出てくる一方『徹底的に弾いた後の「上澄み」だけを使うからこそ、品質を担保することができる』はまさにそのとおり 米国で食べるリンゴはこういうのだろうけど位置付けは『口寂しさを補うナニカ』だもんな」
「知り合いのみかん農家さんが『今年はジュースにするB級品が少なくて』と言ってたので『なら今年は豊作でよかったじゃないですか』と言いましたらニコーっと笑顔になったのでこちらもうれしくなりました。去年はカメムシ被害で大変でしたから。」
「生産者さんの発信はこういう事情を知る事ができてありがたい。普段手に取るジュースや加工品の大元がこういう事だったのねと、多くの人が知っていることだけでもいい。いつか何かのきっかけで何かがどうにかなるかもしれないから。」
など数々のコメントが寄せられた今回の投稿。
なお今回の話題を提供してくれたマルカワ果樹園では現在、自社通販サイトでリンゴや加工品を販売中で。ジュース等の加工品も含め、自社販売しているものは全て「味の乗らない未熟果を徹底的に弾いた後の、完熟リンゴ」。ご興味ある方はぜひマルカワ果樹園の公式通販サイトをご覧いただきたい。
(まいどなニュース特約・中将 タカノリ)




