中学生2人を育てながら簿記2級に合格 主婦がパートから正社員への転職活動…「履歴書に書いた瞬間、反応が違った」

活発な転職市場を背景に、ミドル世代の転職意欲も高まっています。ただ、ポテンシャル採用が行われる若年層とは異なり、ミドルの転職では実務経験やマネジメント経験がより重視されるのも事実です。新しいチャレンジの際に強い武器となる「資格」について、経験者が語る資格取得と転職成功のポイントをたどります。

■家事、育児、仕事。忙しい毎日を縫って勉強時間を見つける工夫

Aさん(関東在住、40代、会社員)は、中学生の二人の子どもと夫の4人家族です。大学卒業後に入社した会社を第一子の出産をきっかけに退職し、末の子どもが小学校に入学したタイミングで、扶養内のパート派遣事務として仕事に復帰しました。

同じ「事務職」でも会社が変われば扱う書類も用語も異なり、はじめは週3日・1日5時間の勤務でもへとへとになる日々だったそうです。一方で時給は「最低時給に毛が生えた程度」だったことから、将来の教育費への不安が募り、Aさんは正社員への転職活動を決意しました。

しかし、年齢不問の事務職求人に数社応募してみても、ほとんどが書類選考で不合格。そこで、新入社員として入社した会社で現在人事に配属されている同級生に相談したところ、こんな助言をもらったといいます。

「一度ブランクがあって、いまは派遣スタッフだと、どんな仕事がしたいのかわかりにくいかも。あと、本当にフルタイムで働けるのかな?って不安もあるから、どうしてもフルタイムで働いている応募者の方を優先しちゃうの。頑張る人だなって思ってもらえるといいんだけど」

この言葉を受け、Aさんはまず資格取得に踏み出しました。忙しい毎日の隙間時間を使い、事務職で役立つ日商簿記検定2級の勉強を開始。年3回の試験があるため、早く結果につながると考えたそうです。必要な総勉強時間を調べ、1日あたりの勉強時間をタイマーで管理し、子どもの宿題を見ながら一緒に勉強するなど工夫を重ね、2回目の試験で合格しました。

履歴書に取得日まで記載して応募すると、書類選考の通過率はぐっと上がったといいます。

■「声に出して取り組む」って大事

Aさんは面接でも工夫を凝らしました。

「今1級取得に向けて勉強していますと言うと、面接の反応が良かったです」

努力を継続できる人物であることは、採用の場で大きく評価されます。

また、Aさんの工夫はこれだけではありませんでした。転職活動中であることや資格勉強のこと、将来やりたい仕事について、周囲の友人や知人にも積極的に話すようにしました。すると「昔挫折した1級の問題集あげる」「このサイトは事務の募集が見つけやすいよ」「派遣会社に資格登録しておくと次の案内で時給が上がるかも」など、応援の輪が一気に広がったそうです。

勉強中は「受かるまで内緒」にしがちですが、周囲の協力を得ることも成功への近道といえそうです。

■ミドル世代「資格取得をすることで転職できた」23%

エン・ジャパン株式会社が調査した「ミドル世代が仕事・転職に活かせた資格に関する調査レポート2025年度版」によると、仕事に関連した資格を取得したことが「ある」と回答した人が取得した資格の上位は以下の通りです。

TOEFL・TOEIC……27%

日商簿記検定……20%

ファイナンシャル・プランナーAFP/CFP……10%

宅地建物取引士……9%

証券外務員……7%

「資格取得をすることで転職できた」という回答も23%にのぼり、年代が上がるほどその割合が高まっている点も注目です。

【参考】

▽エン・ジャパン株式会社-仕事・転職に活かせた資格

◆沼田 絵美(ぬまた・えみ)人材業界や大学キャリアセンター相談業務などに20年以上携わる国家資格キャリアコンサルタント。

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