タイで見かけたごみ収集車、車体になぜか日本の豆腐屋さんの店名 「いいだろ。イニシャルDだ!」と現地の青年 私は真実を告げるべきでしょうか【漫画】
日本の漫画やアニメは、もはや世界中で日常的に親しまれています。そのため、外国では思わぬところでその影響を感じることもあるようです。タイでの楽しい日常を描いている漫画家の小林眞理子さんの作品『タイのひとびと。タイのイニシャルD!』では、意外な場所で日本の漫画への愛を感じた出来事を描いており、SNSで2万以上のいいねを獲得しています。
舞台はタイのローカルな路面。小林さんは目の前に停められたタイのゴミ収集車の大きさと日本と異なる仕様に興味を持ち、「写真撮っておくか」とゴミ収集車に近づきます。すると車体側面に描かれた見覚えのある文字がありました。よく見るとそこには「藤原とうふ店(自家用)」と、日本語で描かれていたのです。これを見た小林さんは「そう来たか!」と驚きます。
この文言は、1995年から週刊ヤングマガジンで連載されたカーレース漫画『頭文字(イニシャル)D』(作:しげの秀一さん)に登場するのですが、タイで非常に有名な作品だそうです。思わぬところでの日本語の登場に、「これこそ写真を撮っておくか」と見ていると、小林さんに気付いた1人のタイ人青年が「それ…いいだろ。イニシャルDだ!」と自慢げに話しかけてきます。
イニシャルDが好きだと話す青年と会話をしている中で、青年は「コレ…なんて書いてあるんだ?」と、車体の藤原とうふ店の文字を指さすのです。小林さんは「えぇッ、知らないんかいッ!」と、つい突っ込んでしまうくらい衝撃を受け、「だって今イニDが好きだって…」と言ったところでハッと気付きます。翻訳された漫画を読んだり、吹き替えや字幕のアニメを見たりすることと、漢字やひらがなを読めることは別問題なのです。
おずおずと小林さんが「えー…こちらはトーフショップです…」と教えると、青年は「ハァ?トーフ?マジで…!?」と、驚きのあまりしばらく口をあんぐりさせます。やはり青年はカッコいい言葉だと信じていたようなのです。
そこで小林さんは、「かっこいい車に、とうふってユーモアがあるし、猛スピードの車に豆腐が積まれていたら運転技術が必要じゃん」と続けます。それを聞いた青年は「あまりにスムーズな走りで豆腐が崩れない…!」と理解した途端、震えながらため息をつき、しみじみと感動します。
改めてイニシャルDへの愛を深めた青年は、早速、他の仲間たちにもこのことを教えてあげたのでした。その様子を眺めながら、「偉く感動してくれた」と笑顔の小林さんで漫画は終わります。
コメント欄には「藤原とうふ店がついてる車、アメリカでもたまに見ます」「トーフ屋さんて知らなかったのww」と、世界での人気を感じさせるものや、驚いたという声が多く寄せられました。そこで同作の作者である小林眞理子さんに話を聞きました。
■タイの人は日本人と同じくらい日本の漫画やアニメの知識がある
ータイでは『イニシャルD』以外にも日本の漫画やアニメは人気があるようですが、小林さんの印象に残っているものはありますか?
タイの人は、ほぼ私たち日本人と同じくらいの日本の漫画やアニメの知識があると言ってもいいです。
今回の漫画と同じような他の体験で印象に残っているのは、タイ人の友達に「3歳の子供がアンパンマンが大好きだから、アンパンマンのグッズを日本から買ってきて欲しい」と頼まれて、アンパンマンについて語り合ったあと、「そういえば『アンパン』ってどういう意味だ?」って聞かれたことがあります。私たちから見たら、主人公そのものが答えなんですが、そこも分かってなかったのかと驚きました。
ー意外なところで日本語に遭遇することはよくあるのでしょうか?
タイではオシャレなカフェの看板が日本語表記なことが多いです。田舎の街に行ってもひらがなの表記の看板などあります。日本語をかっこいいモノと捉えてくれています。
ー作品に寄せられた気になったコメントは。
タイだけでなく、世界中からこのロゴのついた車両の目撃情報の報告を受け、「頭文字D」の人気はすごいなと改めて実感しました。
ー読者にメッセージを。
タイはとても親日な国です。これからもタイで面白いことを見つけたらマンガにしていきます!
(海川 まこと/漫画収集家)
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