JR東海の211系が地方私鉄でモテる理由を考える カギは旧西武鉄道の車両?その理由は

今年、地方私鉄にモテているJR車両があります。それはJR東海に所属していた211系です。現在、JR東海では世代交代が進み、今年3月に211系は引退しました。

2025年に入り、三重県の三岐鉄道や千葉県の流鉄に移籍し、新たな活躍を始める車両が出ました。なぜ、211系は地方私鉄から再雇用のオファーがかかるのでしょうか。

■211系の概要

211系は国鉄末期、1985年に登場しました。車体は鉄よりもメンテナンス容易な軽量ステンレスです。また、ブレーキ時に発生した電気を架線に返す回生ブレーキを備え、省エネ性能に優れた昭和・平成初期の電車です。

国鉄民営化後、211系はJR東日本と東海に配属され、JR東海では民営化後、2両編成タイプも登場。東海道本線や中央本線などで活躍し、地域輸送を支えてきました。

その後、2022年登場の新型車両315系導入により、JR東海の211系は引退しました。JR東日本の211系は活躍を続けています。

■211系に再雇用のオファー

JR東海の211系に、再活躍の機会を与えたのが三岐鉄道と流鉄です。三岐鉄道は今年3月に、三岐線(近鉄富田~西藤原)への211系の導入を発表。形式名を「5000系」に改め、5月に登場しました。計画では、3両編成8本の計24両が投入され、既存車両を置き換えます。

211系の導入にあたり、三岐鉄道は同車の車内・外装の改造をJR西日本テクノスに依頼。そのため、改造内容はJR西日本車両との間で共通点が存在します。たとえば、座席のモケットはJR西日本207系と同じ仕様です。とはいえ、全箇所がJR西色ではなく、床面は三岐鉄道が選択しています。

流鉄は7月にJR東海から211系4編成を譲り受けたことを発表。運行開始日などは明らかになっていませんが、流鉄流山線(馬橋~流山)で活躍する既存車両5000形を置き換える方針です。8月現在、流鉄線に211系が留め置かれています。

■三岐鉄道と流鉄のある共通点

なぜ、JR東海の211系に白羽の矢が立っているのでしょうか。その答えを考える前に、211系を譲り受けた三岐鉄道と流鉄にはある共通点が存在します。それは、どちらも元西武鉄道の車両が主力として活躍している点です。両社の元西武車の車体は鋼製で、省エネ型の回生ブレーキは有していません。また、211系が登場した1985年よりも以前に製造され、老朽化も進んでいます。

「それでは次も西武車でいいのでは」と思うかもしれません。しかし、ステンレス車6000系はまだ現役バリバリ。引退が進んでいる2000系は211系と同時期に登場した省エネ車ですが、ステンレス車ではありません。

ちなみに、同じく西武車が幅を利かす滋賀県の近江鉄道は、西武2000系の導入を進めています。近江鉄道は西武グループに属しているため、今後も西武車を譲り受けることが予想されます。一方、三岐鉄道と流鉄は西武グループには属していません。

その点、JR東海の211系はステンレス車体ですし、改造することなく、2両編成・3両編成といった短編成での運用が可能です。一方、JR東日本所属の211系は3両編成は存在しますが、2両編成はありません。

今後は、211系の姉妹形式であるJR東海所属の213系も211系と同様の運命をたどるのか、注目したいところです。

(まいどなニュース特約・新田 浩之)

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