衰弱した子猫を救った後、凶暴な母猫も保護 再会を果たした2匹は陽気なおしゃべり猫と“家庭内野良”に
白黒ハチワレの母猫「うめ」さんと、キジ白の女の子「むぎ」ちゃんは、一時、離れ離れになった親子でした。2024年5月、Xユーザーのあるくきくらげさん(@kikuragehaaruku)は、この親子猫を数日かけて保護。そこに至るまでには紆余曲折があったといいますーー
■庭に現れた小さな命と、その後の思わぬ展開
「むぎちゃんとの出会いは、2024年5月。隣家の庭で猫風邪をひいて衰弱しているところを保護しました。当時、むぎちゃんは生後2カ月ほど。見た目にもわかるほど呼吸が苦しそうだったため、保護後、急いで病院へ連れていきました」
その直後、さらに驚きの知らせが届きます。
「そのすぐあと『姉妹猫も保護した』と隣家から連絡があり、その子も我が家で受け入れました。そうして、むぎちゃんたちを保護した日から、母猫が子猫を探しに現れるようになったんです」
子を探しに姿を見せる母猫を見て、飼い主さんは思い立ちました。
「何とか母猫も保護できないかと思い、我が家のほうへ誘導するなど試行錯誤したのですがうまくいきませんでした。そこで捕獲機を購入。ようやく母猫を保護することができました。それが、推定3歳~4歳だったうめです」
■食欲旺盛な子猫と“凶暴”だった母猫
新しい暮らしを始めたむぎちゃんは、すぐに元気を取り戻していきました。
「むぎは遊び好きで離乳も早く、すぐに自立しました。でも姉妹猫より体が小さく、食べるのも遅め。遊びに夢中になったときは、姉妹猫にごはんを取られてしまうことも。そのため、ご飯をあげるときは別室に連れていくなど工夫しました」
元気ではありましたが、病弱な一面もありました。
「よく遊び、元気ではありましたが、病弱で、常に猫風邪をひいていました。病院の先生からは『おとなになってもずっと風邪っぽい子もいる。この子はそうなりそうだね』と言われました。そのため、むぎは我が家でお迎えすることに。姉妹猫は友人が里親になってくれました」
一方、母猫のうめさんは想像以上の強さを持った子だったそう。
「母猫のうめさんは、当時、とんでもない“凶暴ニャンコ”だったんです。そのため、私の腕はいつも傷だらけでした。何とかコミュニケーションをとれるような関係になりたいといろいろ試しましたが、人慣れするのは難しそうでした」
そうした経緯から、うめさんも家族として迎えることを決断したといいます。
「里親さんを探すのは難しいだろうと判断し、今は我が家で暮らしています。当のうめさんは、“家庭内野良猫”として過ごすことを満喫しているようです」
■陽気なおしゃべり猫と、慎重な母猫
むぎちゃんは、現在1歳を迎えました。
「超陽気な子で甘えん坊。おしゃべりも大好きでよく独り言を言っています。これほど陽気な子は初めて。悪いことをして怒られてもすぐに気を取り直し、近寄って来てスリスリされたときは驚きました」
また、人と関わることが大好きで、日々に彩りを与えてくれているといいます。
「おもちゃをくわえて『遊んでー!』とウニャウニャしゃべりながら走ってきます。この能天気な性格だったからこそ保護することができたーー『むぎを迎えたことで残りの2匹ともご縁が繋がったんだな』と感じて、思わず笑顔になります」
一方、母猫のうめさんは、現在推定4~5歳。外の世界で生き抜いてきた慎重さを今も持ち続けています。
「性格は超ビビりの慎重派。外猫時代が3年以上あったため、とても警戒心が強いです。爪切りをするのはとても大変。布をかぶせればできないことはないのですが、年に何回できるか…と気が遠くなるほどです」
それでも少しずつ変化も見えてきました。
「そんなうめさんも、食欲には素直。ごはんやおやつだとわかるやいなや、ふだんはあり得ない距離まで近寄ってきてくれます。最初は、猫らしくない鳴き方をしていましたが、最近は『人間は鳴かないと何も気づいてくれない!』とわかったようで、不器用ながらに鳴いてアピールすることも。そう考えると、うめさんもずいぶんと歩み寄ってくれるようになったと思います」
■「保護できて良かった」 この1年弱を振り返って
むぎちゃんの存在は、飼い主さん家族に大きな癒やしをもたらしました。
「むぎは天真爛漫で能天気。その性格に心和むことも多々ありますね」
また、むぎちゃんは名前を呼ぶと必ず返事をしてくれるそう。
「どんなときも呼ぶと『ウニャウニャ』と鳴きながら走って来てくれるんです。そのかわいらしさが、どれほど私たち家族にとって癒やしになっているかーー『あのとき、保護できて良かった。我が家に来てくれて本当に良かったな』。ただただ、そう思います」
一方で、母猫のうめさんに対しても、日々感じることがあります。
「うめさんは、まだ噛まれそうになることもあるので距離感を感じることも少なくありません。でも、お腹を丸出しにして人間のベッドで眠っている姿を見るとほっこりすることもあります」
保護当時との違いに気づくたび、心から保護して良かったと感じるといいます。
「当初は、ふたりともガリガリに痩せていましたが、今ではふっくらしました。家中を元気よく走り回っている姿を見ると、温かい気持ちになります。外猫時代はきっとおもちゃで遊ぶ余裕など無かったでしょう。今は温かい家の中で、子猫のようにおもちゃで遊んでいる姿を見ると『まだ懐いてくれるまでには至らないけれど、保護することができて良かった』と心から思っています」
(まいどなニュース特約・梨木 香奈)




