寝かしつけはトントン? それとも即興ソング?…夫婦で1週間“実験”して見えた、育児の“本当の正解”とは
育児には無数の「正解らしきもの」が存在します。しかし、誰かの正解が「うちの子」にあった正解とは限りません。夫婦間での育児スタイルの違いは、日々の生活に思わぬ衝突と発見をもたらします。
■寝かしつけルーティン、トントン派と歌う派の対決
茨城県在住のMさん(30代)は、初めての妊娠出産を経験し、生後8カ月になった息子の寝かしつけは、今でも最も緊張感の走る時間帯です。Mさんは、子どもの胸や背中を優しくリズムよくトントンしながら寝かしつける「トントン派」。一方、夫は赤ちゃんを抱っこし、揺らしながら子守唄や即興のオリジナルソングを囁くように歌う「歌う派」です。
ある夜、寝かしつけを交代した際に、息子がトントンでは泣き止むものの寝落ちに時間がかかり、夫の歌では泣き止まずに大泣きするという事態が起こりました。どちらの方法が息子にとって心地よいのか。夫婦間に生じたわだかまりを解消するため、一週間ずつトントンと歌を交代で試す「寝かしつけ実験」を行うことにしたのです。
■一週間実験の驚きの結果
実験開始から3日目、トントンの日は約15分から20分で寝る日が多く、抱っこで歌う日は最短で5分、最長で30分以上かかるという結果になりました。短時間で寝る日がある一方、夫の歌声に反応して目がらんらんと冴えてしまう日もあったのです。
最終的に、息子の寝かしつけに最も重要だったのは、方法そのものよりも「親の心の安定」だと分かりました。夫が妙にハイテンションで歌った日は寝ないのに、静かに低温でハミングしながら歌う日は寝つきが良かった気がします。
■お風呂タイムでも繰り広げられる夫婦バトル
寝かしつけバトルが落ち着いたと思ったのも束の間、今度はお風呂タイムでの小競り合いが頻発しました。妻は効率重視派で、お風呂は素早く済ませ、湯温も適温の38度に設定。入浴時間は長くても10分程度です。
一方、夫は「赤ちゃんとのお風呂タイムはコミュニケーション」と考え、湯船を深めに張り、長めに浸かり、歌を歌ったりおもちゃを浮かべたりとレジャー化します。ある日はイルカ型シャワーヘッドを購入し、「これで息子も大喜びだ」と得意げでしたが、水流が不安定になることもあり、息子を泣かせてしまいました。
しかし、夫のお風呂タイムには息子が声をあげて笑う瞬間も多く、Mさんとしては複雑な思いを抱きます。効率を優先したい気持ちと、親子の楽しい遊びの時間を作ってほしい気持ち。Mさんはその間で揺れる日々が続きました。
■正解はひとつじゃない、夫婦で育児に向き合う日々
寝かしつけもお風呂も、どちらが正解という結論には至りませんでした。しかし、「親が楽しく穏やかに接すること」「安全管理を徹底すること」という2つの大原則だけは夫婦で一致しました。
夫は寝かしつけに失敗した夜、「やっぱり俺の歌はダメなのか」と落ち込みましたが、妻は「トントンでも泣き止まない日もある」と励ましました。すると夫も、「効率だけが育児じゃない」と、久しぶりに二人で笑い合ったのです。
このやり取りを通じ、育児は正解を探すものではなく、夫婦が一緒に正解を作っていく過程そのものが大切なのだと痛感しました。
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育児をするうえで、夫婦でバトルになったことはありますか?
▽愛知県・30代・1歳娘
娘の離乳食も後期になり 、夫はゆっくり、一口ずつ食べさせたい派なのですが、娘はそろそろ好き嫌いが出てきたころなので、まとめてスプーンに盛って食べさせようとしてしまう派です。すぐ食べることにも飽きてしまう娘なので、どちらのスピードがいいか、毎回小さなバトルが勃発してしまいます。
▽東京都・20代・2カ月息子
洗濯で、せっかく 赤ちゃん専用の洗剤を買ってきたのに、子どもの服を大人の服とまとめて洗濯する夫。干し方も、日光に当てたほうがいいからといって外干ししてしまいます。私は花粉や外気の汚れが気になるので部屋干し派なので、いつも衝突してしまいます。
▽神奈川県・30代・7カ月娘
夫はもともと体格が良いので、夫が使った後の抱っこ紐のベルトの調節位置がいつもゆるゆるのままで、已然私が使う際に子どもが滑り落ちそうになってしまいました。一方夫は、私が使った状態のまま、子どもを窮屈そうに抱いているときもあります。私も使用前に確認しますが、一度大喧嘩になったことがあります。
▽奈良県・30代・5カ月息子
おむつ替えのとき、夫は、おしり拭きを異常に多く使います。私はなるべく節約して最小限にしたいです。清潔と節約、どちらを優先するかでいつも揉めています。
(まいどなニュース特約・松波 穂乃圭)





