「地獄のような日々」母の看病中に、15歳の愛犬が両後ろ足麻痺…そして夫も緊急搬送 「諦めたら終わり」1年のリハビリの末、老犬は“再び歩いた”

「余命宣告された母を看病する日々の中、突然愛犬が後ろ足麻痺に──。」

2024年、なほさんに立て続けに襲いかかった過酷な現実。そのなかで、14年以上モデル犬として活動してきた全盲の愛犬「じゅぴ太(じゅぴた)くん」は奇跡の回復を見せた。「諦めない」と決めた飼い主のなほさん(@chocojupimode )と15歳の老犬が歩んだ1年間の物語を追った。じゅぴ太くんは2009年12月31日生まれ。

■ 余命宣告と、突然の後ろ足麻痺

2024年5月28日、なほさんのお母さんが病院で検査を受けたところ、腹膜播種(ふくまくはしゅ)が見つかり、原発不明の全身がんと診断。突然の余命宣告を受けた。

「母は2019年に脳梗塞で倒れ、高次脳機能障害で介護が必要な状態でした。あの日、熱があったので念のための検査でまさかの結果が出て……」

動揺が冷めやらぬまま迎えた6月6日、今度は家族同然のじゅぴ太くんが両後ろ足麻痺に。さらにその翌日には、旦那さんが緊急搬送される出来事も重なった。

「じゅぴ太くんが足麻痺になった翌日、旦那が脳貧血を起こしたみたいですぐ回復しましたが、もう何がなんだかわからなくなっていました。大切な3人を全部私が受け止めたいと思いましたが、現実にはどうしようもなくて。ただ必死でした」

■ 難病とヘルニア、手術を避けた理由

じゅぴ太くんは3歳で免疫介在性溶血性貧血、多発性筋炎、急性膵炎などの病気を経験してきた。さらに13歳で進行性網膜萎縮症も発症。「麻痺はヘルニアが原因で、これまでの難病とは別物でした」となほさんは振り返る。

医師からは即手術を提案されたが、全身麻酔は持病の再発リスクが高く命取りになりかねない。

「手術以外の方法を探すしかないと、藁をもつかむ気持ちで整体に飛び込みました」

■車椅子を前に流した涙と、諦めない覚悟

最初は、友人から車椅子を譲ってもらうほど状況は厳しかった。「じゅぴを車椅子に乗せたとき、私は大号泣しました。でも『諦めたら終わりだ』と自分に言い聞かせました」

じゅぴ太くんとなほさんは、整体とリハビリの日々を始めた。最初は週1回から始め、徐々に間隔を空けながら根気よく続けた。

「毎日体操やお灸をして、じゅぴも本当によく頑張ってくれました」

■ そして奇跡の回復

半年、1年と時間をかけて、じゅぴ太くんは奇跡のように回復した。

「最初は『もう歩けないかも』と言われていたのに、今では自分の足で歩けています。本当にありがたいです」

現在も月に1度ほどのメンテナンス整体を続けながら、15歳のモデル犬としての活動を続けている。

■ 母を見送り、支え合った友人たちへの感謝

一方、お母さんは倒れた2024年の8月に再入院し、ホスピスへ。10月に旅立った。

「ホスピスに入ってからは、毎日決められた時間に会いに行っていました。旅立つときは、まるで私たち三姉妹がそろうのを待ってくれていたかのように看取ることができました」

地獄のようだった日々を振り返りながら、なほさんは言う。

「じゅぴの奇跡の回復だけが、あの中で唯一うれしかったことです。支えてくれた友達、応援してくれた友達に感謝の気持ちでいっぱいです」

(まいどなニュース特約・渡辺 晴子)

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