「社長になりたい」野望はおかしい!?…同期はみんな出世欲ゼロで「自分だけが浮いている」 現代の若者たちが仕事に求めるものとは【キャリアコンサルタントが解説】
大手金融機関への内定を獲得したAさんは、周囲の反応に戸惑いを感じていました。Aさんは企業に貢献し、いつかは社長になるという大きな野望を抱いていたのです。ただ内定式後の懇親会で耳にした同期たちの会話は、その思いとはかけ離れたものでした。
話題の中心は入社後の仕事ではなく、趣味や副業、海外旅行など、仕事以外の時間の過ごし方でした。Aさんは驚きを隠せません。仕事に情熱を燃やそうとしている自分だけが、周囲の同期から浮いているような感覚に襲われたのです。
数日後、同期とのオンライン飲み会でも状況は変わっていません。ワークライフバランスや自己実現の話題ばかりで、仕事への熱意や野心を語る人は皆無でした。Aさんの不安は日に日に大きくなっていきます。
ある時、Aさんは人事部の先輩社員Bさんと話す機会を得ました。勇気を出して自分の思いを打ち明けると、Bさんは現代の若者の価値観の多様化について説明してくれました。Bさんは仕事だけでなくプライベートも大切にするのが、今の時代だというのです。
Bさん自身は、昔のように全員が社長を目指すわけではないが、それぞれが自分なりの形で会社に貢献しようとしていると語りました。多様性こそが、これからの時代に必要だと強調したのです。
Aさんのように出世を望む若者は珍しいのでしょうか。キャリアカウンセラーの七野綾音さんに話を聞きました。
ー出世に対して就活生はどんなイメージを持っているのでしょうか
目の前の就職活動を成功させるのに精一杯で、入社後の出世まで考えられている学生は少ない印象です。相談を受けた際に、質問を通して深く話していくと、出世をしてお金を稼ぎたいという話よりも、やりがいを感じたいという人が多いですね。
管理職になることに対して、残業代がもらえなくなったり、部下の指導に時間がとられたりするデメリットを訴える学生もいます。それよりもプレイヤーとして、価値を生み出していきたいという意見をよく聞きます。
ー出世を望む若者が少ないのはなぜなのでしょうか
会社への帰属意識が低下しているからではないかと考えています。会社のために働くという声は少なく、やりがいや価値提供など自己実現のために働く人が増えているのではないでしょうか。
転職や副業など、働き方の選択肢が増えているなかでは、今の会社で働き続ける優先度も下がっているのだと思います。
◆七野綾音(しちのあやね)キャリアカウンセラー/キャリアコンサルタント やりがいを実感しながら自分らしく働く大人を増やして、「大人って楽しそう!働くのって面白そう!」と子ども達が思える社会を目指すキャリアカウンセラー/キャリアコンサルタント。
(まいどなニュース特約・長澤 芳子)
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