滋賀県民が京都府民に抱く感情「琵琶湖のおかげ」を可視化した植木鉢が話題に

滋賀ナンバーを"ゲジゲジナンバー"とあざける京都人と、「琵琶湖の水止めたろか」と憤る滋賀人…

今、SNS上ではそんなお隣さん同士の対立をユニークに表現した植木鉢が大きな注目を集めている。

「滋賀県民が抱いてる感情『琵琶湖のおかげ』を可視化した植木鉢です。琵琶湖に水を注ぐと京都が潤います。

※国土地理院の地形データを利用」

と件の作品を紹介したのはけんけんさん(@XJ6xtyjOxoY2yJ9)。

琵琶湖に水を注ぐと、京都盆地の底から水が湧きだし、植えた木にうるおいを与えるという凝りに凝ったこの植木鉢。その斬新なアイデアと巧みな造形力に、SNSユーザー達からは

「滋賀県民として コレは買わなければ❕と思いました。購入は可能でしょうか?」

「草wwwじゃなくて、木w

縁の、リスペクト琵琶湖ってフレーズも書体もかなり好き過ぎます!」

「琵琶湖の水止めたら京都は萎びる」

など数々の称賛の声が寄せられている。

けんけんさんにお話を聞いた。

ーー作品を思い付いた経緯は?

けんけん:本業は地質・考古系の研究者なのですが、オリジナルの3Dモデルを作って、それを3Dプリンターで印刷して作品を作るのが趣味です。最近は植木鉢を作ることが多く、作った作品をXに投稿したり、3Dデータを公開したりして楽しんでいましたが。最近、国土地理院が日本列島の3Dモデルの地形データを公開しているのを知り、これを活用して何か面白いものが作れないかなと考えていました。

一方で、日本人って「〇〇県はこうだ」とラベリングしたり、自分の住んでいる県を褒めたり貶したり、隣県を僻んだりするのが面白いなというのがありました。福井県在住の私の場合、京都にも滋賀にも知り合いがいて、「京都はな~」「滋賀はな~」といった県民ネタもよく耳にしていました。

また話題になった「お前はまだグンマを知らない」や、U字工事さんのネタ、『翔んで埼玉』などの作品も好きで、それらに漂っているなんとも言えない「キツすぎない毒」のようなフレーバーを作品に取り入れたら、みんなが面白がってくれるんじゃないかなと思っていました。

この植木鉢は、そういった「植木鉢」「地形モデル」「ご当地ネタ」の組み合わせとしてふと思い付きました。

ーー琵琶湖というのが絶妙ですね。

けんけん:自分にとっても身近であることと、滋賀県民の琵琶湖愛も身近に知っていたこと、滋賀県民が冗談で言う「琵琶湖の水止めたろか」が面白いなと思いました。

ーー製作にあたりこだわったことは?

けんけん:琵琶湖の水が京都の地下から湧き上がってくるような仕組みにしたことです。具体的には、琵琶湖と京都を地下トンネルで繋いでいます。また、湖と周辺の地形がよくわかるように、地形は高さを7倍くらいに強調して、湖にはメダカ飼育用の黒い砂をいれて、琵琶湖の形がくっきり見えるようにしました。

それ以外の3Dモデリングは、文字を入れたり丸くカットしたりと至ってシンプルな作業でした。技術を発揮するというよりはアイデア勝負で、国土地理院のデータが素晴らしかったので簡単にアイデアを形にすることができたと思います。

その上で、投稿の文面にはこだわりました。過度に滋賀寄りだったり、おちょくりすぎると不快に思われる方もいるので、「琵琶湖のおかげ」とだけ表現し、あとは「琵琶湖に水を入れると京都が潤う」という植木鉢の機能を説明するための「事実記載」にとどめました。

ーー大反響でしたね。

けんけん:趣味で細々とやっているアカウントなので、反響の伸び方に驚きました。スマホを確認して閉じた数分後にはものすごい数の通知が溜まっていて「これがバズるということか」とソワソワしていました。

好意的なコメントをたくさんいただけて素直に嬉しかったですし、これからも作品を作っていくモチベーションになりました。そして何より、自分が「これ面白いんじゃないかな」と思ったことにたくさんの方が共感してくれたのが嬉しかったです。手前味噌ですが、当初の目標だった「キツすぎない毒」をうまく表現できたと思います。

ーー滋賀や京都の方からのリアクションは?

けんけん:滋賀県民の琵琶湖愛は半端ないなと再確認したのと、京都の人々の反応が優しくて安心しました。それと、私は詳しくは知らずに作ったのですが、「琵琶湖疏水」や京都の地下水などに言及したコメントやリポストをされている方が多くて、むしろ私自身が勉強になりました。「もっとこうしたほうがいい」などのアドバイスもたくさんもらったので、これからの作品づくりに活かしたいとも思っています。

◇ ◇

日々、Xアカウント「けんけん@ものづくり」や3Dデータ共有サイト「Thingiverse」で作品を紹介しているけんけんさん。「Thingiverse」では今回紹介した植木鉢も「Planter of Lake BIWA (Japan)」という名前でデータ公開されているので、ご興味ある方はぜひチェックしていただきたい。

(まいどなニュース特約・中将 タカノリ)

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