「日が落ちて気温がグッと下がる時間になりました。

低体温症には十分お気を付けください。

多くの方が新聞紙を使った防寒対策を紹介されています。私も実際にやってみましたが、足首に新聞紙を巻くだけでも結構温かいです。

ただスリッパは新聞紙だけの状態で立ち続けているとかなり冷えを感じますので、段ボールの中敷きなどを入れた方が良さそうです。」

避難所や自宅で手に入りやすい段ボール箱や新聞紙などで手作りできる避難生活アイテムの紹介や防災に役立つ豆知識などを、X（旧Twitter）で情報発信している段ボール製造会社「サクラパックス」（本社・富山市、社長・橋本淳）さん（@mamorou_bousai）の投稿が注目を集めています。

富山市内に本社がある「サクラパックス」も、2024年1月1日に起きた能登半島地震の際に「今までにない大きな揺れがあった」とのこと。避難生活アイテムや防災関連の情報発信のほか、現在無償で避難所向けの段ボールベッドを製造し避難所へ配送するなど被災地の支援にも取り組んでいるといいます。避難生活を続けている被災者へ向けた新聞紙や段ボールを使った防寒対策をはじめ、被災地支援の取り組みについて「サクラパックス」の担当者に聞きました。

■避難所での低体温症予防に！　新聞紙や段ボールのスリッパの作り方も紹介

──メディアの震災報道（8日）で石川県内の避難者が2万8千人を超え、避難所での感染症や低体温症に注意喚起を行っているそうです。まだまだ寒い日が続くと思いますが、新聞紙を足首に巻く防寒対策についてうまく巻くコツを教えてください。

「写真の新聞紙は巻き終わった最後の端の部分を上部に折り込んで固定しています。しっかり折り目をつけることで外れにくくなります。避難所にテープがあれば、テープで止めた方が安定感があります。空気の層に保温効果があるので、新聞紙を重ねるほど温かくなります」

──また避難所では、土足で室内に上がると土埃や菌を室内に持ち込み、睡眠時などに吸い込み病気につながる可能性もあるとしてスリッパを推奨していますね。スリッパが足りない場合は、新聞紙や段ボールなどで手作りもできるとのこと。「新聞紙と段ボール中敷きのスリッパ」や「段ボールのみのスリッパ」の作り方も紹介されていますが、作る際のポイントは。

「『新聞紙＋段ボール中敷きのスリッパ』については、中の段ボールは気持ち小さめに作ります。大きすぎると新聞紙の中に段ボールを差し込む（『新聞紙＋段ボール中敷きのスリッパ』マニュアル⑨）段階で新聞紙にうまく入らないことがあります。また、 強度を上げるために、新聞紙を表に返して粘着テープを貼ると（『新聞紙＋段ボール中敷きのスリッパ』マニュアル⑩）耐久性がかなりアップしますのでぜひやってみてください。

一方、『段ボールのみのスリッパ』は新聞紙よりも強度のある段ボールですが、スリッパの切り口が硬いことから切り口を軽くつぶす（『段ボールのみのスリッパ』マニュアル⑯）工程で『足首への当たりが柔らかくなるようにつぶす』ことが履き心地アップのポイントです。それでも痛いという場合はハサミで数カ所切り込みを入れるとより履きやすくなります」

■段ボールベッドは2000台まで生産を計画、石川・七尾市の避難所へ

──被災地支援として、避難所向けの段ボールベッドを製造・配送しているとのこと。

「現在製造が完了しているのは150台、2000台まで生産計画を組んでいます。これらは七尾市内の避難所に供給をしています。ベッドはもちろんのこと、プライバシーを守るための（段ボール）パーティションの需要がとても高いことが分かりました」

──長引く避難所生活にプライバシーを守るためのパーティションも必要ですよね。

「はい。今後も、Xを通してフェーズに合わせた避難生活に役立つ情報を発信するよう心掛けたいと思います。被災地につきましてはまずは七尾市への物資の支援、その後は七尾市の先も目指します。提供する物資のラインナップは、段ボールベッド、段ボールパーティション、簡易トイレ、カームダウンパーティション、教室用間仕切りの5点となります。サクラパックスのこれらの防災商品は、無償提供しております。各種SNS、メール（DM）などでお声かけいただければ提供いたしますのでご連絡ください。（※制限はあります）」

担当者によると、富山県内では西部での被害が大きいとのこと。「全壊した家屋もあり避難所生活をされている方もいらっしゃるので何とも言えませんが、奥能登と比較するとまだ被害は小さかったのではないかと思われます。サクラパックスの従業員の中には被災した者もおりますが、安否の確認は取れており全員無事です」と話してくれました。

（まいどなニュース特約・渡辺 晴子）